「地球に優しい」は考えるが結局選ぶのは「サイフに優しい」~家電選びの心理

2008年07月27日 12:00

エコロジーイメージ資源価格の高騰で「地球環境維持のためにエネルギー節約を」という大義名分以上に省エネが求められるようになった昨今、消費者の家電に対する省エネへの意識はどのようなものとなったのだろうか。情報サイト「ブロッチ」などを展開するアイシェアが7月24日発表した、家電商品の購入に関する調査結果によれば、家電を購入する際に省エネの度合いを気にする人は8割近くに登っていることが明らかになった。しかしながら購入の時点では省エネレベル以上に価格の方が決定打となりやすいという結果も出ており、ふところ具合による現実的な問題が重くのしかかっているようすがうかがえる(【発表リリース】)。

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今調査は7月9日から7月11日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの会員に対して行われたもので、有効回答数は447人。男女比は54.6対45.4。年齢構成比は20代15.4%、30代47.4%、40代25.7%、その他11.4%。

テレビやビデオ、パソコン、冷蔵庫などの家電を購入する際、その商品がエコを考慮・重視しているかを気にするか否かについてたずねたところ、全体では8割り近くが何らかの形で「気にする」と答えている。

家電を購入する際、省エネレベルは気にするか
家電を購入する際、省エネレベルは気にするか

「気にしない」層は1割程度に過ぎない。階層別では男性よりも女性の方がやや「気にする度」が大きいようだ。20代が「非常に」も含めた「気にする」回答数が少ないのが気になるが、一方で「気にしない」の数は他の年齢層と変わらず「どちらでもない」が多いので、省エネに対する意識そのものがまだそれほど高くはないのだろう。

「気にする」人は8割近くとかなりの数に登る。しかし実際に購入するとなると、やはり価格が優先順位としては高いようだ。「購入する時に、省エネレベルと価格ではどちらが決め手になるか」という問いには実に8割が「価格」と答えている。

購入する時に、省エネレベルと価格ではどちらが決め手になるか
購入する時に、省エネレベルと価格ではどちらが決め手になるか

20代がやや「価格」が大きいようだ。先の「気にするか否か」で「どちらでもない」層も購入する際には「価格」を優先したのだろう。

全体では8割近くが「やっぱり価格だよね」と答えている。それでは省エネ意識の高低で、購入時の優先順位は変わってくるのだろうか。

購入する時に、省エネレベルと価格ではどちらが決め手になるか(「省エネレベルを気にするか」の度合い別)
購入する時に、省エネレベルと価格ではどちらが決め手になるか(「省エネレベルを気にするか」の度合い別)

確かに違いは出ている。しかし「省エネレベル」を非常に気にする人でも、購入の最終判断時に「省エネが決め手になる」人は6割に過ぎない。一方で「エコレベル(=省エネレベル)」を気にしない人たちは100%心境通り「価格」が決め手となっている。この結果だけを見ると、「省エネは強し、されど価格はもっと強し」ということになる。


地球環境、エコ、省エネと叫ばれるようになり、意識としての省エネが根付きつつあるのは事実だが、それ以上に個人ベースの財務状態の厳しさが「現実の世界」へいざなってくれるというのが現状だろう。「こちらのエアコンの方が地球に優しい」といわれても「こちらの方が10万円お得です」と別のを勧められたら、よほどのことがない限り「おサイフに優しい方が良い」となってしまう。

省エネ・エコな機能が
節約・おサイフにも優しい
家電が求められている

しかし冒頭で触れているように、原油をはじめとする資源価格の高騰で電気料金もかさ上げされる昨今。「省エネ」が「節約」と相反するものでなく、イコールになりつつあるのも事実。購入時の価格が少々高くともランニングコストが段違いで、数か月の使用でもとが取れるのなら、「省エネ」は「節約」に、つまり「地球に優しい」は「おサイフに優しい」となりうる。良い例が白熱電球とLED電球だろう。

企業側も現在もっとも高いニーズ「地球に優しく、(中長期的に見て)おサイフに優しい」商品の開発にいそしむべきだし、販売店もその点を重視してセールスをする必要がある。例えば「このエアコンは通常型より1割ほど高めですが、ランニングコストが段違い。電気料金のことを考えれば、2年でもとがとれますよ」といわれたら、上記の「省エネレベルを気にしない」人でも気になるに違いない。

なにしろ、お客の立場からはよく分からないことも多いのだから。

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