【更新】進む租税条約締結、目指すは資源国へのプロジェクト推進や投資加速
2008年07月26日 12:00
[NIKKEI Net]に興味深い記事が展開されていた。日本政府の動向として、資源国との租税条約締結を加速させる動きがあるという。非公式レベルながら世界最大の産油国であるサウジアラビアとの交渉も開始されたとのこと。日本と相手国との間で「租税条約」を締結することで二重課税など税金上のハードルを取り除き、これら資源国での日本企業の活動をバックアップし、さらに資金力も豊富となったこれらの国からの日本への投資を加速化する狙いがあるという。
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詳細はすでに【「オイルマネー、いらっしゃい」海外投資家課税見直しの動き】で説明しているが、「租税条約の締結」とは日本と相手国をまたにかけて活躍する多国籍業に対し、税金の二重取りをしないようにお互いの国が調整する条約を結ぶこと。
租税条約のあるなしで異なる、多国籍企業の収益・税金(再録)
「二重課税」の状態は、日本にとって短期的には税収の増加が期待できても、中長期的に見れば企業側の視点で投資魅力が減退するため、投資離れが進むため、マイナスとなることに違いはない。
元記事では「カザフスタン・ブルネイ」と条約締結で基本合意という記述も見られたが、確かに6月にはウラン鉱石が豊富な[カザフスタン]と、そして原油・天然ガスが豊富な[ブルネイ・ダルサラーム(通称:ブルネイ)]との基本合意がなされている。
先の記事では「4月以降、租税条約の空白地帯である中東産油国との動きを加速化する」とあるが、ようやく(非公式ではあるが)サウジアラビアとの間での動きが見えてきたことになる。
先物相場の暴走という側面もあるが、原油・穀物だけでなく各種資源(特にレアメタルと呼ばれる稀少鉱石)の争奪戦が世界規模で繰り広げられていることに違いはない。二重課税など「仕組み上のハードル」で不利な立場に追いやられ、中長期的に大きな痛手を受けるのは決してよいこととはいえない。サウジアラビアを中心とする産油国はもちろんだが、必要な国に対するアプローチは積極的に続けて欲しいものだ。
(最終更新:2013/08/04)
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