「生産価値は上がっても売上は横ばい……」情報通信産業は値引きされやすい業態

2008年07月16日 19:40

インターネットイメージ総務省は7月12日、2008年度版の情報通信白書を発表した。それによると情報通信産業は全産業中最大規模の産業であると共に、実質的な生産額は年々増加傾向にあることが明らかになった。一方で名目上の生産額比率は直近では減少傾向にあり、他の産業と比べると情報通信産業が価値低下のいちじるしい産業であることもうきぼりにされている(【発表ページ】)。

スポンサードリンク

情報通信白書とは総務省が毎年日本の情報通信の現況や情報通信の政策の動向について、国民の理解を得ることを目的として作成する統計資料。政策決定の材料としても用いられる。

今調査の統計資料によると、「情報通信産業」の名目国内生産額(市場価格そのもの)は2006年時点で95.2兆円に達している。これは全産業に占める割合としては1割に近い9.8%にのぼる。もっとも直近では2001年~2002年をピークとし、割合・生産額がやや横ばいか減少する傾向にある。

1998年以降の情報通信産業の生産額と全生産額に占める割合
1998年以降の情報通信産業の生産額と全生産額に占める割合

しかしこれはあくまでも「名目」の生産額。これを実質生産額(名目生産額に各業態・業種の物価変動影響を除いたもの)の割合は1995年以降一貫して増加している。

1995年以降の「実質」国内生産額の推移
1995年以降の「実質」国内生産額の推移

実質生産額が漸増しているのに、名目生産額が横ばい・全産業に占める割合が減少傾向にあることから、情報通信産業は他産業と比べて価格低下の割合が大きい産業であるといえる(要はディスカウントされやすい)。

グラフは省略するが、情報通信産業が「実質の」GDP成長率に寄与する割合は大きく、2006年においては37%にも達している(2006年の実質成長率2.7%に対し1.0ポイントの寄与)。見た目の金額が落ち込み気味だからといって軽視していると、日本の産業そのものの成長を押し下げることにもなりかねず、注意が必要である。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ