首都高の通行台数をグラフ化してみる

2008年07月11日 06:30

首都高イメージ先に【軽・普通をあわせた自動車販売実績をグラフ化してみる】で「(昨年夏から秋以降)自動車そのものの数もやや減っているような感があるが~」と、自動車を見かける台数(ちまたを走行している自動車数)が減ったように見える話を書いた。「気がする」だけで済ますのは喉に魚の骨が引っかかったような感じがするので、裏づけとなるデータを色々と探してみることにした。

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「交通のこと」といえばまず最初に思い浮かぶのが国土交通省。【統計データ】はあるのだが、年に一度しか更新していないので、昨年夏以降の変移を知ることは出来ない。

次に思いついたのが、ETC絡みのデータ。こちらは【セットアップ件数】など比較的細かいデータはあったものの、ETCそのものが稼動・普及率上昇中の過程にあるため、利用台数の変移から「自動車そのものの走行・利用台数」を推し量ることはできない。したがって今回は不採用。

最後にたどり着いたのが、【首都高速道路の通行台数データ】。場所が首都高に限定されてしまうが、自動車の走行・利用台数の変移を確認するのは悪くないデータ。幸いにも2005年4月以降の月次利用データが掲載されていたので、これをグラフ化し、「走っている自動車の数が減っている気がする」が本当なのかどうか、確かめてみることにする。

まずは単純な月次データの変移。

首都高速道路通行台数変移(2005年4月~2008年5月)
首都高速道路通行台数変移(2005年4月~2008年5月)

全体的な変化というより月・季節ごとの変動が激しく、流れを読み取りづらい。傾向としては年度末の3月には交通量が増え、正月の1月には大きく減少するということくらいだろうか。

これでは分かりにくいので、季節ごとの変動を考慮できる「前年同月比の変化」をグラフ化する。こちらは元データが2005年4月以降しかないので、必然的に2006年4月以降のものとなる(それ以前は「前年同月」のデータが無い)。

首都高速道路通行台数変移(前年同月比・割合・2006年4月~2008年5月)
首都高速道路通行台数変移(前年同月比・割合・2006年4月~2008年5月)
首都高速道路通行台数変移(前年同月比・割合・2006年4月~2008年5月)(色づけ加工済み)
首都高速道路通行台数変移(前年同月比・割合・2006年4月~2008年5月)(色づけ加工済み)

前年同月比の変移についてそのまま折れ線グラフ化したものを上に、そのグラフに「前年同月と変わらず=100.0%に赤いライン」「100%を超えた部分に水色、100%を切った部分に肌色を着色し、上下の具合を分かりやすくした」加工を加えたのを下に掲載した。まずは何の偏見、印象もない状態で見てもらい、その上で「分かりやすく修正を加えて」みるとどうなるか、確かめてほしい。

2007年夏以前も、時々前年同月比でマイナスとなる月はあった。これは誤差の範囲だろう。しかし2007年秋以降になると、前年同月比マイナスの月が増え、その割合も過去の事例と比べると大きなものであることが分かる。ちなみに2007年11月に100.5%を記録したあとは、2008年4月にかろうじて100.1%をつけただけで、あとはすべて前年同月比マイナスを記録している。

ちなみにこのグラフに、近似曲線(移動平均・区間6)を加えると次のような図になる。

首都高速道路通行台数変移(前年同月比・割合・2006年4月~2008年5月)(赤線が近似曲線(移動平均・区間6))。
首都高速道路通行台数変移(前年同月比・割合・2006年4月~2008年5月)(赤線が近似曲線(移動平均・区間6))。

移動平均線も区間の区切り方で形を変えてくるため、参考程度にしかならないが、逆にいえば「参考程度にはなる」。2007年夏以降、緩やかに下降曲線を描いているのがお分かりいただけるだろう。


首都高イメージ駐車場経営を生業とする【パーク24(4666)】などのデータも間接的ながら参考になる。そのパーク24は6月17日に【通気業績予想の修正】を行っており、そこにも「交通量の減少やガソリン価格高騰など、外部環境の変化等により、駐車場利用台数が落ち込み、既存物件において稼働が低迷し、上期業績は予想数値を下回る結果」と、明らかに駐車場の利用台数や交通量が減少したことが語られている。これもまた、推定を裏付ける材料の一つとなるだろう。

今回参照したデータはあくまでも首都高という一領域におけるデータでしかない。確証度の高い検証結果を得るためには、全国規模のデータを抽出する必要があるだろう(色々と話を聞いた限りでは、首都圏よりも地方圏の方が「自動車の見た目の通行量」が減っているという話だ)。また、明らかな変移が見られる昨年秋以降まだ一年も経過しておらず、「自動車通行量が減っている」のを確証づけるには、もう少し長い期間の(しかも「減っている」)データの蓄積が求められよう。

それらを前提にしたとしても、今回取り上げたデータだけを見ても、少なくとも「自動車通行量は増えていない、むしろ横ばいか減っている雰囲気が強く感じられる」のは十分以上につかみ取れるはずだ。今後ガソリン価格が高止まり、あるいはさらに高騰を続ければ、この傾向はさらに顕著なものとなることだろう。

※2008年4月が一時的に増えているのは、例の「暫定税率の一時的撤廃が要因では」との指摘がありました。確かにその通りです。


■関連記事:
【レギュラーガソリン価格をグラフ化してみる】

(最終更新:2013/08/04)

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