シリコン使って無害な蛍光灯・松下電工が新技術を開発
2008年07月09日 08:00
【松下電器産業(6752)】の子会社の【松下電工(6991)】は7月8日、東京農工大学大学院工学府・越田信義教授との共同開発により、シリコンを使い、従来の蛍光灯よりも少ない消費電力・水銀不使用の蛍光体を作り出したと発表した。将来には消費電力が小さく環境にも配慮した照明器具への応用が期待できるとしている(【発表リリース】)。
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発光原理
従来のシリコンと今回開発されたナノシリコン
従来の蛍光灯は水銀を使用し、気体を放電させるという仕組みが用いられている。今回開発された蛍光体こと「ナノシリコン電子源を用いた放電レス発光デバイス」は放電をさせることなく、水銀を利用せずにキセノンガスから真空紫外光を出して蛍光体を光らせるもの。気体中に高いエネルギーの電子を供給できるナノシリコン電子源を用いることで、世界ではじめて実現できたという。放電が行われないためエネルギーを効率的に活用でき、論理的には蛍光灯の1.5倍以上の発光効率が期待できる。
要は「太陽電池の材料としても知られているシリコンを使った電子部品」に電気を通すと、キセノンガスという特殊なガスに電子が流れて紫外光が発生。この光が蛍光体にあたって光を放つというもの。シリコンを使い光を出せたのは今回が初めてのケース。しかもエネルギー効率が現行の蛍光灯よりも高く、薄型の成型が可能で、均一な光の面を作り出せ、点灯直後でもすぐに明るくなる。さらに水銀を使わないので環境にも配慮した照明が作れる。
現在はまだ基礎技術レベルの段階で、発光メカニズムそのものの解明や発光システム全体の最適化などを行う必要がある。商品への応用はそれらを成し遂げてからになるため、今すぐに照明器具に応用できるわけではない。ただ、LED(発光ダイオード、半導体の部分でシリコンを用いている)とは別の視点から、シリコンを使った照明機器の開発という点で興味深いものがある。
さらに現行の蛍光灯は水銀(有害物質)を用いているため、ヨーロッパなどでは原則的に使用を禁止する動きが加速している。今回の技術を用いた蛍光灯が実現できれば、大きな需要が期待できる。実用化はまだ先の話だが、今後の技術開発の進展を見守りたいところだ。
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