ADSLと光回線の転換点は2005年
2008年07月20日 12:00
総務省が7月12日に発表した2008年度版の情報通信白書によれば、日本のブロードバンド環境を担う2形態「ADSL(xDSL)」と「光回線(FTTH)」において、その普及数の転換点が2005年であることが改めて確認された。2005年を境に両者の増加率は逆転を見せ、またADSL契約数は純減の傾向を見せている【発表ページ】)。
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情報通信白書とは総務省が毎年日本の情報通信の現況や情報通信の政策の動向について、国民の理解を得ることを目的として作成する統計資料。政策決定の材料としても用いられる。
その情報通信白書によれば、2007年末時点でのブロードバンド回線契約数は2830万契約に及び、前年比9.9%の伸びを見せている。中でもFTTH(光ファイバー回線、Fiber To The Home)の伸びは著しく、前年比42.7%増。ブロードバンド契約全体の4割を占めるようになった。
ブロードバンド契約数の推移
FWA(固定無線回線)はほとんど伸びず、CATVが緩慢な伸び率を見せる中、DSL(ADSLなど)が2005年をピークに少しずつ契約数を減らし、それ以上にFTTHが伸びているため、全体が底上げされているのが分かる。
大きな伸び率を見せる(見せた)ADSLとFTTHに限り、契約純増数を比較したのが次のグラフ。ターニングポイントとなった2005年を中心に、四半期毎に両者の純増数が描かれている。マイナスの値はもちろん純減を意味する。
DSLとFTTHの契約純増数推移
2005年にDSLとFTTHの逆転現象が起き、その直後からADSLの契約数は純減(マイナス)に転じている。この2005年という年は先に【伸びる光ファイバー回線、少しずつとって代わられるADSL】でも示したように、FTTHの利用率が増え始めると共に、「ADSLなどのxDSL回線をもっとも長く使っている人」の割合が減少を見せ始めた年でもある。利用時間という点からも「2005年」はターニングポイントであることが分かる。
ADSLは日本のブロードバンド化に大きな役割を果たしてくれたことは間違いない。しかし同時に以前から指摘されていたように、過渡的な技術であったことも否定できない。光回線やCATVなど他の方式が順調に普及する中、ADSLなどのDSLはその役割を終え、少しずつ自らの幕閉じに向けて歩みつつあるのだろう。
(最終更新:2013/08/04)
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