伸びる光ファイバー回線、少しずつとって代わられるADSL
2008年07月13日 12:00
総務省統計局は7月11日、2008年5月分における家計消費状況調査の調査結果を発表した。その際に同時発表された参考表(長期時系列データ)によると、今世紀に入って日本のブロードバンド(高速インターネット)化を推し進めたADSLなどのxDSL回線利用率が2005年を境に漸減傾向にあり、代わって光ファイバー回線(FTTH、Fiber To The Home)が急速に伸びていることが改めて確認できた。2007年の時点で両者はほぼ均衡しており、現在では立ち位置が逆転しているものと思われる(【発表ページ】)。
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家計調査は、全国の世帯を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを毎月調査し、国民生活の家計収支の実態を把握。国の経済政策や社会政策の立案のための基礎資料を提供することを目的としている。結果は逐次データ化され、毎月発表されている。また、通常のデータとあわせて話題性の高い案件と家計との関連を示すデータも、追加参考資料として報告される。今回調査分は2007年分においては集計世帯数は1931件、世帯人数は平均2.59人、有業人数(働いている人)の平均は1.30人。公開データは2002年から2007年分で1年毎のもの。
今回取り上げるデータは、「電話機で直接利用するインターネット」つまり「携帯電話機でのインターネット」以外でインターネットアクセスをしている世帯のうち、世帯全体でもっとも利用時間が長い通信手段について挙げてもらったもの。その通信手段しか使っていないわけではなく、あくまでも「もっともよく使う」であることに注意。
「携帯電話機でのインターネット」以外でインターネットアクセスをしている世帯のうち、世帯全体でもっとも利用時間が長い通信手段
ISDNはもともと少しずつ減少している傾向にあったがその減り方はゆるやかなもの。これは地域性の問題もあるのだろう。むしろxDSLの普及と共に(その性質上)アナログ回線利用が急激に数を減らしている。
ところが2005年を境に光ファイバー回線が急速に普及しはじめ、それと共にxDSL回線が少しずつだがそのボリュームを落としているのが分かる。2007年時点でxDSLが13.8%、光が13.6%だが、そのカーブ具合を見れば現時点では両者の位置関係は逆転していることだろう。
【「ケータイ使ったネット利用が一番長い」な家庭は約●割】で触れたように、インターネットが利用できる端末の普及率がまだ7割に達していないという事実には、驚くべきものがある。今件データからはさらに、その6割強の中にも1割程度の人たちがアナログ電話・ISDN回線(ナローバンド)にとどまっている事実も明らかになった。国民皆ブロードバンドはなかなか難しいだろうが、もう少し普及率が高まるよう、関連官庁や企業には努力まい進を願いたいものだ。
なお今件データでは「電話機で直接利用するインターネット」つまり「携帯電話機でのインターネット」以外でインターネットを利用していない世帯の割合も併記されている。これによると2007年時点で13.1%の世帯が「ケータイ以外にネットにアクセスしない」と答えている。
先の記事では「ケータイによるネット利用が一番長い」のが1割弱でしかなく、今件では1割強と、多少の誤差が見られるのが気になる。ともあれ「うちではケータイでしかネットしないし他のツールは持ってないネ」という家庭が全体の1割ほど存在するということは事実なのだろう。
(最終更新:2013/08/04)
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