「公的年金に期待しない」若年層は7割を超える

2008年07月23日 08:00

年金イメージ楽天リサーチが7月21日に発表した調査結果によると、公的年金に期待していない人は「あまり」「まったく」をあわせ過半数の56.7%に登ることが明らかになった。社会保険庁の不祥事や体たらくが毎日のように報じられる中、これほどの結果が出るのもある意味当然といえよう。特に20代・30代では7~8割もの人が「期待していない」層であり、若年層の失望感が高いことをうかがわせる結果となっている(『発表リリース』)。

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今調査は6月23日から26日の間、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。20代~60代の男女を対象とし、男女別・年齢階層別で均等割り当て。

公的年金への期待についてたずねたところ、全体では「期待できる」層は43.3%に達していた。

公的年金への期待度(全体)
公的年金への期待度(全体)

ただし「公的年金だけで生活できる」と考えている人は3.2%に過ぎず、「ある程度の支えにはなる」としか考えていない人が大多数を占めている。「定年退職後は年金生活」という言い回しがよく使われるが、実際に「年金だけで生活」というライフスタイルは非現実的であることを大多数の人が認識しているのだろう。

一方で、性別・年齢階層別に見ると、男性よりも女性、高齢層よりも若年層の方が、年金に対する失望感・不信感が強いことがわかる。

公的年金への期待度(性別・年齢階層別)
公的年金への期待度(性別・年齢階層別)

20代・30代では7割以上が「期待していない」と答えているが、60代ではわずか3割強に過ぎない。これは現状においても若年層の方が「負担が多くもらえる額が少ない」と告知されていることや「自分たちがもらえるころにはもっと支給額が減るだろうし、制度そのものも変わっているのでは」という不信感がそのまま数字となって表れている。

男女別では女性の方がシビアな考えをしているが、特に30代女性では8割以上の人が「期待していない」と答えている。女性の方が現実的、ということなのだろうか。


【お金を貯める目的は「老後の資金」「生活の備え」、貯め方は定額積立がトップ】ても触れているが、現在消費そのものが減退傾向にあるのは、不景気(手取りの低下と物価上昇)と共に、それにも増して将来への不安感を起因とする「備えて貯めておかねば」という貯蓄への動き=危機感への裏返しが大きな要因。将来生活を支えるはずの公的年金が、担当の官公庁のあまりにもの体たらく・いい加減な仕事振りだったことに失望し、それが貯蓄を後押しさせ、消費を減らし、しいては景気を悪化させると考えることもできる。

特に若年層の消費が落ち込んでいることと、この層の公的年金への不信感との間には、浅からぬ相関・因果関係があるものと思われる。景気をよくするためには、まず最初に「景気良く、安心して手持ちのお金が使えるような社会の仕組み」を整備することが欠かせないのだろう。


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(最終更新:2013/09/01)

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