7月15日は日本の漁業が眠る日
2008年07月15日 06:30
【全国漁業協同組合連合会】などでは7月15日、所属する漁船を本日7月15日、一斉に休漁する。原油高による燃料価格の高騰で、漁に出ても採算が取れない現状を世間と政府に訴えるためのもので、一部報道によれば参加漁船は20万隻に達しているとのこと(【発表リリース、PDF】)。
スポンサードリンク
発表リリースによれば水産物の自給率は近年において輸入品が増大したことにより低下を続け、2006年には59%にまで低下。さらに原油価格の高騰で漁船で用いる燃料価格も高騰し、この5年間で約3倍に達している。
「A重油」と呼ばれる漁船燃料用価格の推移
【原油価格高騰でイカ釣り業者が2日ストライキ】にもあるように各漁業者の自助努力も限界を超え、現在では漁に出れば赤字がかさむばかりとのこと。
生鮮水産物の小売価格(リリースより)。むしろ小売諸経費の節約を図るべきとも見えるが……構造的に難しいのだろうか
また、セリ取引が主体のためコストの上昇分を価格に転嫁しづらく、燃料費が上がることの打撃を直接漁業者が受けていることになる。
今回の一斉休魚のほか、全国から漁業者3000人が東京の日比谷に集まり、全国大会を行うことで、漁業の現状を世間に広く知ってもらうと共に、政府には緊急対策を求めていく方針との事。
【原油価格150ドル超なら漁業の4割が廃業・生産量は最悪半減へ】にもあるように全国漁業協同組合連合会では「1バレル150ドルまで原油価格が高騰すると4割の漁業者が廃業しかねない」という試算を6月に出している。現在の原油価格はすでにその域に近づいており、今回一斉休漁という形で現状を訴えるのも合点がいくというもの。
グラフを見る限り元々燃料費の上昇によるコスト問題は、漁業そのものの大きな課題として持ち上がっていたようだ。しかし昨今の原油価格の高騰が急すぎて、対処が間に合わないというのが実情。今件は原油価格の急騰が、社会生活に対し直接的だけではなく、間接的にも大きな影響を与えているという事例として注目すべきものといえる。
(最終更新:2013/08/04)
スポンサードリンク
ツイート