「遺伝子組み換え食品は危険」中高教師の6割がイメージ
2008年07月28日 08:00
内閣府は7月24日、遺伝子組み換え技術に関する意識調査の結果を発表した。それによると中学校と高校の教師の6割が、「遺伝子組み換え食物(GMO)」を危険であるという印象を持っていることが明らかになった(【発表リリース】)。
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今調査は2008年1月から3月に郵送による無記名調査方式で行われ、教員に対しては中学校・高校教員向けに8000人に調査依頼がされている。回答数は4080人分。
学校において遺伝子組み換え技術などに関する授業をしたことがあるかどうかについてたずねたところ、全体では75%が「ある」と回答した。
遺伝子組み換え技術に関連した授業経験の有無
概して中学よりも高校の方が授業経験の割合が高いのが分かる。また、遺伝子が絡むことから、生物における割合はほぼ100%に近い値となっている。すでに遺伝子そのものの授業もこなしているのなら、説明もしやすいのだろう。
それでは、教えている教員自身はGMOについてどのような印象を持っているのか。これについては4割が「安全」と考えている一方、6割が危険であると回答している。
「遺伝子組み換え作物・食品」という言葉から受けるイメージ
なぜか今項目では「全体」の値が掲載されていないが、高校の生物教師以外は6~7割がリスキーであると判断していることが分かる。
グラフは略するが、教員自身がどちらかと言えば否定的な考えを示していることから、GMO関連の授業に臨む姿勢もまったくの中立というわけではなく、「中立~慎重・否定的」な立場のものが多い。肯定的な立場の意見はごくわずかでしかない。
内閣府側ではGMOに対する技術の内容ばかりでなく安全性や環境面への影響などの発信を行い、理解を得ることが必要であると説明。そして正確な情報をどのように教員、そして間接的に生徒に提供していくかを考えなければならないとしている。
一時的な食糧増産には
成功したものの
中長期的に見ればかえって
損失の方が大きいという
見解もある
かつて「緑の革命」と評され世界的な食料の増産に成功したムーブメントでは、表面的な増産には成功したものの、急速な生産増加で関連する多種方面でバランスが崩れ、さまざまな弊害を巻き起こしている。この「緑の革命」は主に化学肥料・農薬の導入や品種改良によるものだが、第二の「緑の革命」をGMOによって起こそうという動きが広まっている。
食料の増産は急務ではある。しかし教員の多く(そして恐らくは教員だけでなく消費者全体)の腰がひけているのも、GMOそのものの人体・生態系への影響だけでなく、遺伝子組み換えによる安易な多生産型作物の「創造」が、前回の「緑の革命」同様に大きな問題を引き起こすのではないかという懸念からくるものだろう。
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