新型インフルエンザ対策、52%の企業は「予定なし」

2008年07月17日 08:00

新型インフルエンザイメージ三井住友海上火災保険は7月16日、日本国内の上場企業を対象にした「新型インフルエンザ」の対策に関する実態調査結果を発表した。それによると全体では52.0%の企業が「新型インフルエンザの対策を講じる予定はない」と回答していることが明らかになった。その最大の理由として「引き起こす事態があまりにも重大なもので、企業の対応能力を超えるから」が挙げられており、半ば「あきらめ」感すら見受けられる(【発表リリース】)。

スポンサードリンク

今調査は5月から6月の間、日本国内の上場企業3949社に対して質問紙郵送方式によって行われたもの。回答企業数は448社(回答率11.3%)。

新型インフルエンザを想定した感染症対策の状況は次の通り。全体では52.0%が「対応の予定はない」と回答している。

新型インフルエンザを想定した感染症対策の状況
新型インフルエンザを想定した感染症対策の状況

大企業の方が社会的責任感が強いからか、あるいは財務的・人材的な余力があるからなのか、対応率が高いのが目に留まる。「実施」「策定」「予定」を含めた「実施する意図がある」企業は全体では48.0%なのに対し、従業員3000人以上の大企業では85.1%に達している。

すでに対策を実施している企業にその対策例を尋ねたところ、次のような回答が得られている。

「社内報・小冊子やセミナーなどを活用した社員への啓発」……65.7%
「マスク、うがい薬、消毒薬などの衛生資材の備蓄」……62.0%
「新型インフルエンザに関する情報収集体制作り」……45.1%
「発生直後の緊急時対応計画の策定」……40.4%
「事業継続計画の策定」……19.2%


実際に新型インフルエンザが流行した場合、「事業体としての企業」と「社員で構成される企業」の双方の観点から打つべき手を考えていることが分かる。ただし直接的な影響である社員への手当てはそれなりに進んでいるようだが、社会インフラ・事業体としての継続性においては、一企業だけではどうにもならない場合も多く、後手に回っている感もある。

11.3%という回答率の低さが
新型インフルエンザ対策への
企業の関心の薄さを示している

一方で「対応の予定がない」と回答した52.0%の企業に「対策を予定していない理由」をたずねたところ、「引き起こす事態があまりにも重大なもので、企業の対応能力を超えるから」と回答した企業が最も多く54.5%となった。次いで「具体的な症状が分からないので、対応していない」が45.1%。これを見るに地震など過去に事例がある他のリスクと比べ前例がないことや、発生時の影響が大きすぎて何をすればよいのか・何ができるのかが検討もつかないというのが実情と思われる。

一企業、特に(上場をしていても)中小企業にとって、すべての対策を整えるのは難しい。まずは【3要素をピックアップ・新型インフルエンザ流行に備えた厚生労働省のガイドライン正式発表】などにもあるように、関連官庁や調査機関から情報収集を行い、できる範囲のことがらを見極め、その上で打てる手はうっていくべきだろう。

もっとも今調査は、三井住友海上火災保険という大手企業からの依頼であり、対象が上場企業であるにも関わらず、回答率は11.3%に過ぎない。上場企業全体の対応済み・予定率は48.0%よりもっと下がるだろう。「10社に1社強しか回答していない」という現実が、関心度の低さをあらわしているのかもしれない。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ