【更新】天候不順が影響…2008年6月度の外食産業の売上は前年同月比でマイナス0.8%

2008年07月26日 12:00

外食産業イメージ日本フードサービス協会は7月25日、協会会員会社を対象とした外食産業の市場動向調査における2008年6月度の調査結果を発表した。それによると総合売り上げは前年同月比でマイナス0.8%となり、二か月ぶりに前年同月比マイナスに転じた。前年よりも梅雨入りが早く、雨も多くて気温が低いなど、天候不順が来客数に大きく影響し、さらに消費者の節約志向の高まりが来客数の減退に拍車をかけている([発表リリース])。

スポンサードリンク

今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象に行われたもので、対象数は事業者数が196、店舗数は28776店舗(既存店はそれぞれ189、24941)と、先月同様事業者数が大幅に増加している。店舗数は横ばいのままであり、大型チェーン店が子会社化を促進しているのかもしれない。

全業態すべてを合わせた6月度売り上げ状況は、前年同月比で99.2%と前年同月を0.8%下回り、先月から再びマイナスに転じてしまった。業態別では相変わらずファストフードが堅調で、めん類において著しいのも先月通り。また既存カテゴリには当てはまりにくい「その他」項目店舗の伸びが大きいのも先月からの傾向。客単価の伸び率はばらつきがあり、店舗数・客数共に伸びているめん類でやや下落の傾向が見受けられる。和風は先月同様に客足がやや遠のいているが、これを客単価などでカバーし、前年同月比プラスに押し上げている。

一方ファミリーレストラン部門の伸び率は全般的に軟調。中華が一番健闘している図式は先月どおりだが、客数の減りが著しく、売上高はすべてマイナス。焼き肉部門が特に軟調なのもこれまでどおり。

客数データ、しいては売上高は天候に左右されるところが多い。6月は梅雨入りが昨年と比べて早く、特に関東甲信越では昨年比で20日早まるなどで、来客数に大きく影響している。客単価は(商品単価の上昇からか)増加をしているものの、客数の減りをカバーするまでにはいたらなかった。

全店データ(既存店、新店合わせて)
全店データ(既存店、新店合わせて)

6月データにおいても5月に続き、ここ数か月来よく見られる「新築されためん類のお店が非常によく頑張っていることが分かる」という傾向が現れ(既存店データでは前年比マイナス)、ファストフード部門においては和風店の下げをもカバーする形が見える。統計対象月はまだ梅雨入りの中で気温も低く、熱くて満腹感も得られる「庶民向けの食事」の代表格としてのめん類が人気を集めているのだろう。この勢いが夏以降も続けば本物なのだが。

天候の影響で
客足遠のく。

原材料費の高騰による食品などの値上げ報道やガソリン代の急騰などで、外食業界には逆風が続いている。さらに「外食の料理」から「自炊で料理を」「せめて中食に」といった食事スタイルのシフトもネガティブ要因として挙げられる。直近のデパートやスーパーの成績でも「食料品部門のみ伸びている」など、それが顕著に現れている(【2008年6月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-0.9%】)。ケータイクーポンや折込チラシをはじめとした顧客の囲い込み戦略、品質の向上化によるアピールなどで客足を呼び込むことに成功している企業もあるが、6月はそれでも全体的な客数の鈍化による影響を抑えきることはできなかったようだ。

食品価格の高騰は世界的な傾向として表れており、先物の規制や自粛活動など投機マネーの動向に変化がない限り、しばらくは継続しそうな雰囲気。特にガソリン価格の高騰で自動車の利用モチベーションが急激に下がっている今、外食産業には厳しい時代が続く。顧客の誘引に成功している企業の事例を参考に、他の企業も積極的な展開を推し進めた方が良いだろう。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ