【更新】2008年上半期のマンション動向、首都圏-23.8%・近畿圏-21.5%

2008年07月16日 19:40

マンションイメージ不動産関連の民間調査会社不動産経済研究所は7月15日、首都圏及び近畿圏の上半期のマンション市場動向を発表した。それによると首都圏(東京都・神奈川・埼玉・千葉の1都3県)で新しく売りに出されたマンション数は2万1547戸にとどまり、前年同月の2万8284戸から23.8%・6737戸の減少となったことが明らかになった。上半期のデータとして4年連続で前年同期を下回っている([首都圏分リリース]、[近畿圏分リリース])。

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首都圏も近畿圏も「不動産不況」を具体的に表すには十分過ぎるほどのデータだが、概要的には次の通り。

・首都圏の新規売り出しマンション個数……2万1547戸(-23.8%)
・近畿圏の     〃       ……1万1857戸(-21.5%)
・戸別平均単価、土地平均単価共に上昇(首都圏で戸別+3.7%、土地+5.5%、近畿圏で戸別+6.0%、土地+5.3%)
・取得用地の高騰と建築コストの増大でマンション価格が上昇。しかし消費者の購入性向は上がらず。従って売れ行きは鈍化し在庫が増え、新規供給が抑制されている。
・下半期も市場の環境が好転する兆しは見られない。
・業者は在庫処理に注力。
・建築基準法改正による着工激減の影響も出始めている。



直近三年間における上半期のマンション平均価格(上)と土地平均単価(下)。経費がかさみ、マンション単価も上がっている状況が分かる。
直近三年間における上半期のマンション平均価格(上)と土地平均単価(下)。経費がかさみ、マンション単価も上がっている状況が分かる。

また、首都圏に限ってだがマンションの売買動向を図式化すると次のような図になる。

首都圏のマンション販売動向。2006年・2007年の在庫を減らすことは出来たが、2008年分の在庫が積み重なり、結局在庫戸数はほとんど変わらず。もちろん新着マンションの方が売れ行きが良い。
首都圏のマンション販売動向。2006年・2007年の在庫を減らすことは出来たが、2008年分の在庫が積み重なり、結局在庫戸数はほとんど変わらず。もちろん新着マンションの方が売れ行きが良い。

売れ行きそのものが落ち込んでいるため、財務負担を減らすには在庫を減らした方がよい(借金をして作ったものを売り、そこから借入金・利息を返して残りを利益として計上するから。売れなければ経費はかかるし、借入金の利息も積み重なる)。上の図からわかるように過去の物件も抱えているため、結局在庫数にほとんど変化はない。このため各業者は今後新規着工数を減らして(&改正建築基準法により減らさざるを得ないという理由もあり)既存在庫の処分に走るものと思われる。

2005年以降の新着戸数(2008年は予定)
2005年以降の新着戸数(2008年は予定)

なお2008年の数字は予定値だが5万戸を割り込む。これは1993年の4万4270戸以来の低水準で、5万戸台でも1983年の5万4521戸以来の低い値となる。

これらのデータを見る限り、今後しばらくはマンションデベロッパーは既存の在庫処分を最優先事項として認識し、なりふりかまわぬ攻勢に出ざるを得ない状況にあると見て良いだろう。新築マンションに関わる建設業にとっても、辛い時期となりそうだ。

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