年間1ギガワットを2011年に・昭和シェル石油が世界最大級の太陽電池量産技術構築へ

2008年07月04日 06:30

太陽電池イメージ【昭和シェル石油(5002)】は7月3日、2011年稼動を目標として現時点で世界最大級の太陽光発電パネルの工場建設を目指す方針を明らかにした。需要ひっ迫で不足気味のシリコンを使わないタイプの太陽電池の量産強化技術を開発し、2011年には年間1000メガワット規模の生産能力達成を目指すとのこと(【発表リリース】)。今件は数日来各報道で伝えられていたが、今回の発表まで昭和シェル石油側では正式に認めてはいなかった。

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今回昭和シェルが開発強化に乗り出す太陽光発電パネル(太陽電池)はCIS太陽電池と呼ばれるもの。現在通常の太陽電池の主原料であるシリコンが世界的に供給不足状態になっているのを受け、そのシリコンを一切使わず、代わりに銅やインジウムなどの金属化合物を使用。しかもその量も少量で済むため、現状では低コストでの製造が可能になる。現在すでに年間20メガワット規模のプラントを稼動中で、60メガワットのプラントも2009年稼動を目指し建設中。

また今回の量産技術においては、液晶・半導体製造装置の大手【アルバック(6728)】と共同開発を行うことも決めている。アルバックの半導体やフラットパネルディスプレイによる真空装置技術を融合させることで、生産能力を向上させるのが目的。そして2011年稼動を目標とし、新工場では年間1000メガワット規模の生産能力達成を目指すという。リリース上には記載されていないが、一部報道では投資金額は1000億円規模といわれている。

太陽電池の生産量は毎年増加の一途をたどっているが、【今年2月のシャープの発表】によると、現時点の太陽電池累計総生産量は8ギガ(8000メガ)ワット。あのシャープですら2007年度の生産量は363メガワットでしかない。今後3年間に各社が量産体制を急速に強化することを考えても、今回発表された工場がいかに大規模な生産量を目標としているかが理解できよう。

ただし銅はともかく主原料とされる、レアメタルの一種であるインジウムは、現在では中国が最大の採掘国。そして昨今では環境問題などから海外への供給量が減りつつある。日本でも採掘をしていたものの、最大の採掘地である北海道の豊羽鉱山では採算性の問題や資源そのものの枯渇を理由に、採掘を停止している。今後はリサイクルによる回収や、日本国内における採掘量の増大が求められるかもしれない。

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