小学生への知名度は「野口英世」>「源頼朝」>「大隈重信」

2008年06月28日 12:00

大久保利通イメージ文部科学省所轄の教育政策のシンクタンクである国立教育政策研究所は6月27日、小学6年生と中学3年生あわせて1万6059人を対象に2007年1月から2月に実施した学力テスト「特定の課題に関する調査(社会)」の結果を発表した。それによると日本史に登場する歴史上の人物と業績を組み合わせる問題において、卑弥呼や野口英世などの正解率が85%を超す一方、大久保利通や大隈重信などの正解率が35%を切るなど、人物によって知名度に大きな違いがあることが分かった。全般的には政治関係者よりも文化人の知名度が高い傾向があるようだ(【発表ページ】)。

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今件は社会科における基礎・基本となる知識・概念と、問題解決的な学習に焦点を当てた調査で、無作為抽出によって選ばれた小中学生を対象にしたもの。多種多様な設問が設定され、調査結果としてデータが公開されている。

今回取り上げるのは歴史上(日本史)の人物と業績を組み合わせる問題で、例えば「ペリー」なら「黒船で来航し、幕府に開国をせまった」、大久保利通なら「薩摩藩出身で幕府をたおし、新政府の中心となった」という形で出題されている。また質問は「業績から人物」「人物から業績」の両方向で行われている。

各人物とその正答率は次の通り。

日本史上の歴史上の人物における「知名度」
日本史上の歴史上の人物における「知名度」

表上、上にいる人物ほど小学生への知名度が高く、下に行くほど低いということになる。全般的には冒頭で触れたように、文化に関する人物の正解率(=知名度)が、政治に関する人物よりも2~3割ほど高い傾向が見られる。

設問そのものに目を通すと先の事例のようにあまりにもシンプル過ぎて、その人物の説明には言葉が足りないところがあり、「この説明だけでこの人物を当てるのは苦だろう」という事例もある。ただし消去法が使えることも考えると、人物毎の設定による難易度の違いは誤差の範囲と見てよいだろう。

上位に名を連ねている人物はなるほど、という人たちばかりだが、下のほうで「何でこのひとが?」というのも多い。例えば「上野の西郷さん」で有名な西郷隆盛は45~55%(35~45%)の回答率、つまり約半分程度からそれ以下でしかない。かつての千円札の肖像として用いられていた伊藤博文は35~45%。大隈重信は35%以下、そして大久保利通にいたっては2割程度の知名度しかない(もっとも大久保利通については、上記の説明文にあるように、設問上の問題があるのだろう)。

また、近い時代に活躍し、似たようなことをした人同士を間違える事例も多く見られたという。中大兄皇子と中臣鎌足のように、同時代の似たような場面に登場した人物の正解率・知名度が似たような位置にあるのは、分野・時代による勘違いの結果もあるのだろう。


ちなみに全回答者のうち全問正解者は「業績から人物」が8.3%、「人物から業績」が7.9%いたとのこと。小学6年生むけとしてはそれなりに難しいと思われる問題で、すべてに正解するとはそれなりの偉業に違いない。

よく知られている人物たちと比べれば、知名度が低いとして例示された人物たちは、歴史上のインパクトは低いかもしれない。しかし、せめて上記のリストに掲げられている人たちにおいては、名前と、どんなことをしたのか、歴史上の立ち位置はどのようなものなのかくらいは知っておきたいものだ。


(最終更新:2013/09/06)

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