バンダイナムコホールディングスの株主総会出席レポート
2008年06月23日 19:40
権利確定をして株主総会の議決権を得られた銘柄のほとんどは郵送で議決権の行使を行うのだが、「たまにはいいだろう」ということで【バンダイナムコホールディングス(7832)】の総会に参加してきた。ゲーム業界関連のイベント(?)に参加するのは何年ぶりだろうか。薄利で売却して今はもう株主ではないが、一応議決権も行使できるので「プレスでの入場」ではなく堂々の出席となる。
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場所は東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪。ちょうどほぼ同じ場所で【全日本空輸(9202)】の総会も開かれるということで、ホテルまでの道なりは「それらしい」人ばかりがずらずらと行進中。
案内の看板持ちの人もあちこちに。
入り口には総会会場を知らせる看板も。
入り口の看板には「第3回」の文字が。「あれ? そんなに新しい会社だっけ」とも驚いたが、バンダイとナムコが持ち株会社化したのはつい先日のことだったことを思い出す。
さて会場内部の様子は……というところでストップがかけられた。係の人いわく、総会会場内部の様子は個人情報保護法やプライバシーの問題から、たとえプレスであっても一切撮影はお断りとのこと。以前と違う状況に多少とまどいながらも了承。と、いうわけで議事進行中の写真はなし。
議事そのものは比較的スムースに進められた。質問に逐一、できるだけ答える形式をとったため、議決案件の議決も含めて2時間ほどかかったが、株主との質疑応答も大きな揉め事になることはなく、無事終了。やりとりの中などで気になった、メモに残っていることをまとめると次の通り。
・事業内容説明のビデオが流れたが、文面を読んでいたのは声優の三石琴乃さんだった。
・総会を土日に開催すべきとの意見には「今年は会場が確保できなかった」。
・今後もこれまで同様に新規開発コンテンツと旧来のコンテンツの活用、両面で展開する。
・「『アイドルマスター』の海外展開をすべき」→色々リサーチしたが現状では難しい。
・アミューズメント事業は見通しがキツい。さらに引当金をあてる。一方でキャラクタに特化したパターンの施設を試験運用しており、今後大きく展開させるかも。
・「バンダイビジュアルは「パンナムとの合併はない」と言っていたのに……」→コンテンツの出口戦略、効率化のため。
・バンダイビジュアルの時にはあった優待を→今年は間に合わず。現在検討中で来年以降導入する可能性はある。
・特段買収防衛策は講じていない。健全な業務で株価を堅調にすることが最高の策。
・「大きな子ども」向けの事業部を立ち上げて、キャラクタビジネスの「多様化」に対応している。
などなど。他に気になったことといえば、アミューズメント事業部門(要はゲームセンター)が非常に辛い状況にあるのは理解できるのだが、しっかりと顧客側へのリサーチをしているのかな、という疑問。ゲームセンター不況については【加速するゲームセンター離れ・理由は「多忙」「割高」「自分の環境の変化」など】のアンケート結果にもあるように単なる少子化、燃料費高騰、ライフスタイルの変化だけでなく、ゲームセンター側にも少なからぬ原因があるはずなのだが、その認識が甘く「外部環境が厳しいから仕方ないよね、整理統合しなきゃいけないよね」という逃げに徹している気がしてならない。
また、株主からの質問に答える形で、今回議決期において不動産を売却して得られた特別利益を配当なり内部留保にまわさずに、自社株買いに充てた、株式の価値を高めたと説明していた。しかし、正確には自社株買いをしても消去をしなければ、1株あたりの株式価値は高まらない。一時的に株価が上がり、流動株数が減るだけの話。社内に取り込まれたままでは、ストックオプションなり社員への直接譲渡なり、あるいは他社との合併の際の株式交換に使われてしまうかもしれない。その辺の説明がそれとなくぼかされていたのが、少々疑問に残った。
ケータイのデジカメも併用したので少々見難いところもあるが、展示物の一部。業務内容を説明するには十分なもの。小さなゲームショウのような感じ。
さて、総会が終わったあとの懇親会。パンナムの新製品のお披露目や、バイキングでの食事が提供された。商品のお披露目は特に目新しいものはなく、これまでに発表されたものばかり。子供連れの株主も少なからずいたが、ゲームなどへの「引き」があまりなかったのが気になる。むしろ仮面ライダーとの写真撮影会や、プライズゲームに夢中だったようだ。ちなみにバイキングは各種ケーキやカレー、ミートスパ、いくら丼、そばなどおなじみのもの。いくら丼には長蛇の列が出来ていた。ご飯モノの中ではカレーが一番人気が無く、カレー党の当方にしてみれば少々悲しい情景に映って見えた。
出口で渡されたお土産は、「ネイ太のエコバッグ」に粗品一式。
お土産一覧
袋自身も「エコバッグ」として使って欲しいということで、無駄の無い会社経営とCSR(社会的企業責任)をアピールする狙いがあるようだ。中にはバンダイが展開しているブランドのTシャツ「Real B voice」、パンナムの無料情報誌「B-NOURS」「side-BN」が入っていた。また、総会出席者向けのネームホルダーは、プレート反対側がそのまま「ナムコ・ナンジャタウン ペアフリーパスポート」になっている。
事業内容そのものは財務諸表などを見てもらえばお分かりの通り、ゲームコンテンツ部門が比較的堅調な以外は、かなり厳しい状態に置かれているというのが率直な感想。とはいえ、赤が出ているわけではなく、利益が減少しているというレベルなのでまだ「マシ」なのかもしれない。しかし今後しばらくの間は、全般においてゲームコンテンツ部門ですらも慎重にならざるを得ないような、消費停滞の波が押し寄せる可能性は否定できない。あるいはそれに備えて、「大きな子ども」向けの事業部を立ち上げて「サイフの中身が比較的潤沢」な彼らの購買力にも期待しているのだろう。
アミューズメント事業部門の建て直しと、ゲームコンテンツ部門のクオリティ・収益性の向上、また映像音楽コンテンツではブルーレイへのスムーズな移行が求められよう。
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