石油と食料品急騰で懸念されるアメリカのインフレ加速・金利引き上げの噂も

2008年06月16日 08:00

値上げイメージ【NewYorkTimes】が伝えるところによると、アメリカでは石油製品と食料品の加速度的な値上げによる物価上昇・インフレーションが進行しており、年末までにFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切る可能性すらあるとしている。5月は前月比で0.6%(季節調整済み)の物価上昇を経て、アメリカ全体では年間4.2%の物価上昇を経験しているという。

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直近1年間のアメリカの物価上昇率(前月比、季節調整済み)
直近1年間のアメリカの物価上昇率(前月比、季節調整済み)

上記に示したのは元記事に掲載されていたアメリカの直近1年間の月別物価上昇率(季節調整済み)だが、確実に上昇している様子がわかる。同じ元記事には主要地域の年間・5月の季節調整前物価上昇率もあわせて掲載されているが、これを見ると大都市圏ほど(かつ地域によってかなりばらつきのある)物価上昇が起きていることが分かる。

・アメリカ全体……+0.8%/+4.2%
・ニューヨーク……+1.0%/+4.0%
・ロサンジェルス……+0.9%/+3.7%
・シカゴ……+1.1%/+4.5%
・ボストン……+1.0%/+4.0%
・ダラス……+1.9%/+5.0%
・デトロイト*……+1.4%/+2.4%
・ヒューストン*……+0.6%/+2.5%
・フィラデルフィア*……+1.2%/+3.9%
・サンフランシスコ*……+1.1%/+2.9%
・ワシントン……+1.1%/+5.0%

※表記は順に(月間/年間)。アメリカ全体、ロス、シカゴ以外の月間値は2か月前の数字との比較。
※「*」マークは4月算出、他は5月。


日本では【灯油+29.2、スパゲッティ+30.2%、即席めん+18.4%……必需品で急騰する物価】で示したように、食料品と石油関連商品の価格が急騰し、逆に他の耐久消費財の中には値を下げるものが相次いでいるが、アメリカでも状況は同様のもよう。衣服やコンピューター部門では値を下げるものも多く、食料品とガソリン価格を除けば5月の物価上昇率は0.2%に過ぎなかったという。

ガソリン+21%
食料品+5.0%
生活必需品の高騰が
経済全体をインフレに導く

一方でコアな商品である「食料品・ガソリン」は価格上昇を続けており、ガソリン価格は5月だけで5.2%上昇、1年前と比べると21%の値上げが見られたとのこと。また飲食品では前年同月比で5.0%の上昇が見られた。

この急速な物価上昇について元記事であるエコノミストは、「石油価格の高騰が起きた当初は、生産側はこれが一時的なものと見ていた。他社との価格競争もあり、できるだけ価格を抑える努力を続けてきた。しかし石油価格は上げ止まらず、次第に多くの企業が『降参宣言』と共に価格を上げる姿勢を見せ、実施に移している。だから急速な物価上昇が起きたのだろう」と分析している。

当サイトでも目に留まった企業の値上げリリースをいくつか記事にしているが、そのいずれもにおいて値上げの理由として「企業努力では限界」という言い回しが使われている。他社との競争原理が働き、値が抑えられる上限を超えたコスト高は、アメリカでも日本でも同じなのだろう。

さらに日本では単なるインフレではなく、「消費者の消費可能な資力」が横ばい、あるいは低迷するというスタグフレーションにおちいっているのではないかという懸念もある。これも需給バランス・経済の安定化へ向かう1ステップには違いないのだが、単なるインフレよりも消費者は生活の大変さを経験させられる。あるいは日本の消費者は、アメリカの消費者以上に賢く生活する知恵が求められるのかもしれない。

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