「ガソリン高すぎ!」 ヨーロッパ各地で発生するストライキやデモ

2008年06月10日 06:30

トラックによるストライキイメージ【BBC NEWS】が伝えるところによると、スペインでトラック運転手による総勢9万人にも及ぶ大規模なデモが発生した。首都のマドリード周辺には10キロにも渡るトラックの行列が出来たという。また、フランスとの国境地帯にあるカタロニアの町では200人ものトラック運転手が料金所そばの道にトラックを止め、抗議行動を行った。その姿は整然としていたものの、無言の威圧感があったという。スペインでは今年1月から現在までの間に燃料価格が20%も上昇しており、トラック運転手の間には不満が高まっていたとのこと(【同件を伝えるBBC NEWSの公式動画】)。

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スペインで起きたトラックのストライキ(BBC NEWS元記事上に掲載されている動画から)。クラクションを鳴らしながらのろのろ運転をし、苦境を訴えている。
スペインで起きたトラックのストライキ(BBC NEWS元記事上に掲載されている動画から)。クラクションを鳴らしながらのろのろ運転をし、苦境を訴えている。

今回のデモ(ストライキ)に参加した運転手の多くは、自営業、あるいは中小企業に所属するトラックを担当している。彼らは主に問屋や倉庫から末端の店舗への物資輸送を担っているため、このままストライキが続けばスーパーから品物が消え、ガソリンスタンドや家庭へのガソリン供給そのものが途絶えてしまう懸念すら生じている。

スペイン政府側でもこの燃料価格の高騰に対し、緊急融資策と柔軟な契約への対応、退職間近の老齢の運転手への(退職金代わりの)現金供与などを準備していたが、そのさなかでのストライキとなった。またフランスでも先月、ブリュッセルで開かれたEUサミットの期間中、漁師たちがストライキを起こし漁業の手を休めるという行為に出ている。彼らいわく「政府が燃料高騰に対して補助金の手当てをしてくれないと、我々は廃業するしかない」。

トラック運転手たちは口々に「ガソリン価格の高騰をどうにかできないのなら、ディーゼル車両への切り替え、あるいは燃料費そのものへの補助金への手を打ってほしい」と訴えているが、EU側では「燃料への長期的な補助金はどのようなものでもEUの法では違法である」として退ける姿勢を見せている。

ヨーロッパではスペインのトラック、フランスの漁師以外にも多くの業者による「燃料高騰に対するストライキ」が起きている。元記事によると主なものだけでも

・ベルギー……6月4日にEU本部のそばで漁師が警官隊と衝突
・ブルガリア……150台のトラックが5月28日にデモ行進
・フランス……5月3日にトラックとタクシーが漁師のストライキを支持する形で高速道路を閉鎖
・イタリア……5月30日に漁師がストライキを開始
・スペイン……5月30日に漁師がストライキを開始。マドリードの漁師は20トンの魚を無料で市民に提供
・イギリス……5月28日にトラックが首都ロンドンの道路を閉鎖。漁師は6月3日に首都で抗議行動を展開


など、ヨーロッパ全土に動きが広まっている。

日本でも燃料高騰を原因とし、漁業団体がストライキを起こす構えを見せている(『ヤフーニュース「原油高 漁業団体が一斉休漁“海のストライキ”へ」』)。このままさらに原油高に伴う燃料高騰が続けば、ヨーロッパと同じような動きがアメリカや(アメリカでも1ガロンあたり4ドルを突破し、大きな騒ぎとなっている)、日本にもおきる可能性は否定できない。需給のバランスの変化によるものだけなら仕方ないが、「それ以外の」要因で価格の急騰が起き、それがこのような事態を招いているのなら、早急に手を打つ必要が出てこよう。また、第一次・第二次石油ショックの時と同様に、急速な代替燃料・代替エネルギーへのスライドや開発促進がおきるものと思われる。

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