サラリーマンの小遣いと昼食代の微妙な関係
2008年06月07日 12:00
先に【昼食代 1年間で20円安 現在570円ナリ】でお伝えしたように、GE Moneyが6月4日発表した「サラリーマンの小遣い調査」によると、男性サラリーマンの昼食代はここ数年の間減少している傾向にあることが明らかになった。一方でその原資となる小遣いは一定額を維持しているわけではなく、やはり大きな変動を見せている。それでは「小遣いに占める昼食代の割合」はどれくらいになるのだろうか。直近データを基に算出してみると、サラリーマンの苦労のほどがしのばれるデータを見出すことができた(【該当資料発表ページ】)。
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今調査は全国の男性サラリーマン500人を対象に実施している定点観測で、1979年以降は1991年・1993年・1994年以外は毎年行っている。調査期間は4月19日・20日、ネット経由で行われ、年齢階層比は20・30・40・50代で均等割り当て。未婚対既婚は47.2対52.8。年収階層は300~500万円がもっとも多く28.6%、次いで500~700万円の25.6%、900~1500万円の19.6%など。
サラリーマンの小遣いの主な使い道の一つ「昼食代」、そして小遣いそのものの平均もすでに公開されている。一か月あたりの平均出勤日数を20日とし、休日は自宅で食べるので昼食代は使わないという状況を想定する(出勤時のお昼は弁当持参、という場合は考えない)。そして一日の昼食代を20倍して、一か月の昼食代を算出し、小遣い額に占める割合を計算する。
サラリーマンの小遣いと昼食費が占める割合
このようにグラフ化すると、次のような推測が出来る。
・サラリーマンが昼食費として想定している配分は小遣いの2~3割
・ITバブル崩壊、金融恐慌時に激減した小遣いに対し、昼飯代を少しずつ削ることで対処しようとしたものの、当初は「昼食係数※」が上昇する
・その後も少しずつ昼食費の節約は続き、昼食係数もじわじわと逓減。小遣いの額も増えて、余裕が出てくる。
・だが「昼食以外の小遣いの使い道を増やす」ためか、昼食費を削る意向は止まらない。
・2007年にようやく昼食係数は「ITバブル崩壊」直後の水準にまで戻る。
・しかし直近の2008年では昼食代の減少分を上回る割合で小遣い額が減り、昼食係数は再び上昇のきざしを見せる。
※「昼食係数」……小遣い全体に占める昼食費の割合。かつて生活の豊かさを示すバロメーターとして使われていた「エンゲル係数」になぞらえて設定
少ない小遣いの中で、欠かせないものの比較的大きな割合を占める昼食費を少しずつ削ることで負担を軽くし、どうにか今世紀初頭の水準まで押し戻した苦心がしのばれる。しかし小遣い額そのものが再び減少傾向を見せ、係数も上昇。さらなる「工夫」や「努力」で係数を押し下げようとするのは容易に想像がつく。
これらの数字はあくまでも平均値であること、来年以降はそれぞれが大きく変動することを考えればあくまでも「参考値」でしかないのだが、今後も「昼食係数」を25%台にしようと昼食費を調整する動きがあるのなら、小遣いが現行の4万6300円から(2005年水準の)4万円に落ち込んだ場合、一日あたりの昼食費はきっかり500円という計算になる。逆に考えれば、小遣い額が4万円以下の水準になると、昼食代も500円を割り込む方向で調整が行われるということになる。サラリーマン自身はもちろん、彼らの購入を期待している食堂やファストフードをはじめとした外食産業、そしてコンビニなどの小売業にも厳しい数字には違いない。
一方、先に昼食費の話を掲載したところ、「勤務先の社員食堂なら300円前後で美味しい昼食が堪能できる」という意見もいただいた。確かに大手企業の多くで整備している社員食堂なら、安くて量も適切、しかも温かい料理を安価で食べることができる。また、勤め先に自前の食堂が無くとも、例えば大企業や大学、そして自治体の役場の中には昼時に食堂を一般に開放しているところもある。そのような場所を見つけて「相乗り」させてもらうのも一つの生活の知恵、といえるだろう。
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