まずは「なじみ」、そして「安定」よりも「高い収益」を求める傾向へ

2008年06月07日 12:00

株式イメージ【野村證券(8604)】の金融経済研究所は6月5日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2008年6月発表分、PDF】)。それによると5月時点で個人投資家が興味を持っている金融商品は、「国内株式」と答える人がもっとも多く3割強を占めていることが明らかになった。またローリスク・ローリターンよりも「リスクを承知で高い収益が期待できる」商品への人気が高まっているのが分かる。これも相場の復調の表れかもしれない。

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今調査は1000件を対象に5月21日から23日に行われたもので、男女比は69.2対30.8。年齢層は40歳代がもっとも多く29.9%、ついで30歳代が24.6%、50歳代が23.1%など。金融資産額は1000万円~3000万円がもっとも多く26.6%、500万円~1000万円が21.2%と続いている。1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く27.8%を占めている。次いで1年から2年未満が19.6%、5年以上が17.6%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く46.6%と約半分を占めている。ついで配当や株主優待が29.0%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めているのはこれまでと変わりなし。

「現在関心を持っている金融商品とその理由」についてたずねたところ、圧倒的に多かったのは「国内株式」。調査が基本的に国内株式・ETFへ投資する人を母体としているというのもあるが、「現在投資している」ではなく「現在関心を持っている」という問いでもやはり国内株式は強かった。

現在関心を持っている金融商品とその理由(一部抜粋)。
現在関心を持っている金融商品とその理由(一部抜粋)。

「国内株式」を選んだ理由としてもっとも多いのが「なじみがある」というのも、調査母体が国内株式中心の個人投資家だから、という理由を裏付ける。

ハイリスク商品への
ニーズが高まったのは
市場環境改善の証拠?!

一方で興味深いのは2位以降の金融商品の傾向。上位に「高い収益が期待できる(≒リスクの低さや安定性は後回し)」が固まっていて、5位以降の「元本割れリスクが小さい」「安定した収益が期待できる」商品たちを押しのけているようすが分かる。誰もが「必ず損する商品」を買うはずはないのだから、このような「リスクの高めな商品」に注目関心が集まっているということは、「市場の雰囲気的にこれらの商品でも、低調な時期と比べればリスクは低くなっているだろう」といった考えが広まっているものと思われる。逆に考えれば、それだけ市場の雰囲気が改善したように見える、ということか。

日経平均株価だけを見れば確かに3月の最安値時期と比べて改善の兆しを見せつつあることに違いは無いが、未だに色々な「爆弾」を市場が抱えているのもまた事実。状況の変化に伴い臨機応変に戦略を見直していくのはもちろんだが、恒久的な原則も忘れないよう心がけ、その上で判断をしたいものである。

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