運動すれば元気で長生き・統計結果からも明らかに

2008年06月05日 12:00

運動イメージ厚生労働省研究班による多目的コホート(JPHC)研究班は6月4日、身体活動量と死亡リスクに関する研究結果を発表した。それによると、身体活動量が多い(よく運動する)人ほど死亡リスクが低い傾向があることが明らかになった。運動量の違いにより、最大で0.61倍までリスクが軽減していたという。研究班では日常生活の中でよく動く時間を増やしていくことが健康につながり、早死にを予防すると考えられる、とコメントしている(【発表リリース】)。

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今調査は岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所管轄内に住む45~74歳の男女約8万3000人を対象に10年間追跡調査を行ったもの。各人の普段の身体活動量と、その後の全死亡および主要死因別(がん、心疾患、脳血管疾患)にみた死亡との関連性を調査した。なお身体活動量は、激しい運動・座っている時間・歩行や立っている時間・睡眠時間に分け、運動強度指数MET値と掛け合わせて運動量の概量を算出、その上で4群にグループ分けした。

その結果、身体活動量と死亡との関連には次のような関係が見られた。

一日の身体活動量と死亡との関係
一日の身体活動量と死亡との関係

・全般的に身体活動量が多いほど死亡リスクが低下している。全体では男性で0.73倍、女性で0.61倍
・ただし肥満度(BMI)で区分すると、27より大きい(肥満気味)の群では身体活動による死亡リスク低下度合いが小さかった(≒運動していても肥満体だとリスクはあまり減らない?)
・男性ではがんと心疾患、女性ではがんにおいて、統計的有意性上の低下が見られた。
・身体活動量が低いグループ(運動をあまりしないグループ)には元々体調が悪い人がいるかもしれない。そこで研究開始から3年以内の死亡者をのぞいて分析したが、男性の死亡リスク低下の度合いが少々弱まっただけで、ほとんど結果は変わらなかった。


今回の「死亡」対象者は平均寿命前の「早死に」なのが多いということもあり、今調査結果から「身体活動量が多いことで『早死に』リスクを下げることができるのでは」という推測が成り立つ、と研究班では見ている。ただしその原因については体内機関の機能改善や、老化・炎症に関連する酸化ストレスの軽減、さらには心理的な影響もあるのではとしているが、詳しいメカニズムについては分かっていないとのこと。

自動車の構造を一から十まですべて完璧に丸暗記しなくとも、自動車を運転し、そのメリットを享受することはできる。今回の調査結果も似たようもので、なぜ身体運動量が多いと(≒よく運動すると)死亡リスクが低くなる、つまり早死にしないのかその理由は分からなくても、「自身の生活の中で可能な方法により、よく動く時間を増やしていくことが、早死にの予防につながる」(原文ママ)ことは確かなようだ。

外で出回って事故に遭遇する云々という状況・確率まで想定するとキリが無い。少なくともこまめに身体を動かすことは、身体的・健康的にもプラスとなり、寿命を縮めないというのだから、この助言には耳を傾けるべきだろう。

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