「自家用車からバス、鉄道へ」ガソリン高で変わるアメリカの移動スタイル
2008年06月03日 06:30
【USA TODAY】が伝えたるところによると、アメリカの2008年第1四半期においてバスや鉄道などの公共交通機関の利用率が過去最高を記録した。原油・ガソリン価格の高騰には歯止めがかからない状態なので、第2四半期はさらに利用率が高まるものと推測されている。
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【アメリカ公共交通協会(APTA、the American Public Transportation Association)】が6月2日に発表した調査結果(【発表リリース】)によると、2008年の1月から3月においてアメリカ人は26億回公共交通機関を利用したという。この数字は前年同月比で8500万回以上上回っている。APTAの代表William W. Millar氏は
「ガソリン価格の高騰がアメリカ人の旅行や移動の傾向に大きな影響を与えている。
(There’s no doubt that the high gas prices are motivating people to change their travel behavior.)
多くの人が公共交通機関を使うことこそが、ガソリン価格高騰への対応策だと考えるようになっている。
(More and more people have decided that taking public transportation is the quickest way to beat the high gas prices.)」
とリリースの中で語り、公共交通機関の利用頻度が高まったのはガソリン価格の高騰が大きな要因であると分析している。
2007年においてですら103億回という過去50年間の中でもっとも大きな数字を示した「公共交通機関の利用回数」だが、今回発表された第1四半期データはその2007年よりもすでに3.3%上昇している(一方アメリカ連邦高速道路局では、高速道路の自動車利用距離数が第1四半期で前年同月比2.3%マイナスに転じたとも伝えている)。
公共交通機関へのニーズが高まる一方、それを整備する地方公共団体側では十分なサービスを提供していないと指摘する声もある。元記事では今後ガソリン価格がさらに上昇し、ニーズが高まれば、(整備状態が十分でないという)不満の声はますます増えていくだろうと伝えている。
公共交通機関の整備不足はひとえに予算不足からくるもの。第1四半期に前年同期比で13%、4月に限れば28%もの乗客の増加が記録された南部フロリダ鉄道でも、予算不足で今後「適切な」サービスを提供し続けられるか不安である、という話も寄せられている。
先のAPTAの最新レポートでは公共機関全体の数字以外に、
・軽鉄道(路面電車など)……+10.3%
・一般鉄道……+5.7%(シアトルで+27.9%、ハリスバーグで+17.0%など)
・地下鉄や高架鉄道……+4.4%(ニューヨークで+12.3%、ボストンで+8.8%)
・バス……+2%(10万人未満の小規模地方公共団体では+7.8%)
など主要公共交通機関すべてにおいて大きな利用率の向上が見受けられる。これもまた、自家用車用のガソリンが高騰したのが原因であると考えてよいだろう。
【ガソリン高で変わるアメリカの休暇スタイル】で触れているように、ガソリン価格の急騰はアメリカ人の余暇スタイルを変えつつある。さらに通勤・通学など、平常生活における移動スタイルにおいても、「自家用車から公共交通機関へ」というライフスタイルのシフトがおきつつあるようだ。
(最終更新:2013/08/05)
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