消費しない「新ニッポン人」、休日の過ごし方で8割は「インターネットやメール」
2008年06月05日 12:00
gooリサーチと【オールアバウトジャパン(2454)】が6月4日に発表した平日のワークスタイルと休日の過ごし方に関する調査結果によると、会社員などの勤め人が休日を過ごす方法として、一人の場合は「インターネットやメールをする」がもっとも多く約8割に達していることが明らかになった。消費者全体、特に若年層が消費をしない、控えていることが昨今産業界において問題視されているが、それを裏付けるデータとして注目できよう(【発表リリース】)。
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今調査は22歳から49歳の就労者に対してネット経由で4月28日から5月1日までの間行われたもので、有効回答数は1057人。男女比は50.1対49.9、年齢階層比は20代33.5%、30代33.8%、40代32.7%。
調査結果では平日・休日それぞれについて働き人のライフスタイルについてたずねているが、今回は休日の過ごし方についてスポットライトを当ててみる。「ひとりで」「友人と」「家族と」の3パターンにおける過ごし方をたずねたところ、「ひとりで」の場合には圧倒的に「インターネットやメールをする」の回答が多く8割近くを占めた。
休日の過ごし方
(特に多いもの)
●一人で
・インターネットやメール
・日ごろ出来ない家事
・テレビゲームや録画したものの観賞
・買い物
●家族と
・買い物
・自宅で食事
・レジャーに出かける
・外食
●友人と
・外食
一人で行う行動は「インターネットやメール」「家事」「テレビや録画した番組の鑑賞」など、自宅内で完結するものが多く、ようやく第四番目に「買い物」が入る。その他「ゲーム」「料理作り」なども上位に来ており、「映画鑑賞」「レジャー」など、出費をしそうな行動はほとんどしていない。
・自宅で完結するもの、特に無い
↓
積極的な消費活動が見られない
・一人や身内との時間共有を好む
また家族と共に行う行動では「買い物」がもっとも多く「外食」「レジャー」「ドライブ」などが上位についているが、それと共に「特に無い」の項目にも多くの賛成票が入っているのが気になる。さらに「友人と」の項目では「外食」「買い物」などの項目を抑えて、「特に無い」がもっとも高い得票数を得ており、勤め人の少なからぬ人たちが「休日まで友人(≒会社の同僚)と何かをすることはあまり無い」という傾向が見られる。
もちろんサラリーマン・OLの生活環境が会社とその周辺に限ったわけではなく、知人・友だちも会社とのつながりのある人に限られるわけではない。しかし休日の友人との過ごし方が「一人で」「家族と」と比べると積極性が見られない様子を見ると、「休日は自分ひとり、あるいは身内だけで静かに過ごしたい」心境もかいまみれる。余計な気遣いをしたくない、無駄な出費を避けたい、忙しくて休日まで他人と関わってるヒマはない、さまざまな可能性も考えられるが、今回の調査結果からだけでは詳しくは分からない。
先日テレビ東京系列で久米博氏が司会の【新ニッポン人現わる】という経済特集番組が放送された。その中では特に20代の若年層がそれより上の年齢層と比べて(あるいは企業の想定と比較して)お金を使わない傾向が強いことを指し示し、彼らをして「新ニッポン人」と命名していた。要は「新人類」「団塊世代」などいう時代毎の年齢層区分を新たに設けたいようだ。
ライフスタイルは
それ自身の魅力と共に
「生活防衛のための」
賢い選択なのかもしれない
区分云々はともかくとして、「消費しない年代」の多くは実際に収入が少ないことに加え、年金問題や「自分たちより年上の大人」、特に「勝ち逃げ世代」と呼ばれる団塊世代に対する不信感から、出来る限り消費をせずにお金をため、将来に備える姿が見て取れた。またその節約ぶりやライフスタイルは、彼らの世代層なりの「工夫」が色濃くにじみ出ている。
企業側としてはこの世代が消費をしないことで目算が外れ、頭を抱えている様子も描かれていたが、今回の調査結果からも若年層から中堅層に渡る就業者の多くで「消費を抑えるライフスタイル」を重視している様子が見て取れる。
お金をほとんど使わない娯楽「インターネットやメールをする」が多くの(特に若年層の間で)人をとりこにしていることから、産業界の一部では「ネットやメールは消費を抑える悪癖だ」とみなす向きもある。しかし元来サイフの中身が少ない若年層に「お金をもっと使って」とアピールするのなら、まずはなぜ「彼らがお金を使わないのか(あるいは使えないのか)」を考え、「使ってもいいナ」と思えるだけの環境整備をする必要があるのではないだろうか。むしろアピールする側が多く位置する、団塊の世代向けに「もっとお金を使って」とした方が合理的だと思われる。
彼ら「新ニッポン人」にしてみれば「インターネットやメールをする」のは好きだから・面白いからという面もある。しかし同時に「生活防衛のための賢い選択」といえるかもしれないのだから。
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