自転車での携帯電話利用、条例制定に賛成は78%
2008年06月29日 12:00
ネプロジャパンが6月27日に発表した携帯電話関連の調査結果によると、自転車を利用中に携帯電話で通話やメールなどを使用することに対し、罰則を科す条例が設けられる動きが各地で進んでいるが、このような条例の制定について賛成する人は78%に登ることが明らかになった。若年層を中心に事故も多発しており、社会問題にもなりつつある昨今、注意・規制を行う根拠となる条例の制定が望まれる姿が浮き彫りとなった(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は6月5日と6日に携帯電話経由で行われたもので、有効回答数は4614人。男女比は42対58で、年齢階層比は19歳以下が2%、20代30%、30代44%、40代以上24%。
自転車を利用しながらの携帯電話の利用は、2004年11月に改正道路交通法が施行されてから基本的に「3か月以下の懲役か、5万円以下の罰金」が科せられることになっている。しかし現状では【警察庁回答(国政モニターより)、PDF】の回答にもあるように、「自転車が手軽な移動手段として用いられていることなどを踏まえますと、現時点においては、慎重な検討を要するものであり、まずは自転車の運転者のマナーアップを図っていくべきものと考えております」との趣旨から、厳密に取り締まりは行われていないのが現状。
しかし【「自転車」「携帯電話」「条例」で検索する】とお分かりのように、自転車利用中の携帯電話使用による事故が多発していることを受け、地方自治体レベルで拘束力のある法律「条例」を制定し、取締りが出来るような措置を施す地域が急増している。よく知られているのが京都府で昨年秋に制定された【京都府自転車の安全な利用の促進に関する条例】。
今回の調査結果の項目の中で、「自転車に乗りながら携帯電話を使用すると罰則が課せられる条例が増えつつありますが、条例についてあなたは賛成ですか?反対ですか?」という問いに対しては、賛成派があわせて78%を占める結果となった。
自転車利用時の携帯電話使用を禁止する条例をどう思うか
「どちらともいえない」などの意見もあり、明確に反対を表明している人は「全体では」5%に過ぎなかった。
性別では女性がやや反対派が多いくらいで、大きな差異はないものの、年齢層別に見ると明らかな違いが見えてくる。
自転車利用時の携帯電話使用を禁止する条例をどう思うか(年齢階層別)
基本的に年齢が高くなるほど「とても賛成」という、強い意思での賛成派が増えている。40代以上では過半数の人が「とても賛成」に回っている。各年齢層で「とりあえず賛成」の値がほぼ同数なこともあり、40代以上は「とても」「とりあえず」だけで7割以上の「賛成派」の底上げをしているのが分かる。
該当者が多い若年層も
「危険」「でも使いたい」と
決断ができない状態
先の検索結果にもあるように、自転車利用時の携帯電話使用、そしてそれに伴うトラブルは若年層、とりわけ学生層に多い。それでは「とても賛成」のボリュームが比較的少ない若年層は、「自転車でケータイ使ってもいいじゃん」とばかりに条例制定に反対しているのかと思えば、そうでもない。確かに「反対派」の数は10代で16%、20代前半で11%と他の年齢層に比べれば多いが、全体に占める割合としては少数派に過ぎない。
むしろ多いのは「どちらともいえない」という、賛成すべきか反対すべきか悩んでいる状態の人。この回答者数は若年層ほど多い傾向にある。恐らくは「自転車でケータイ使うのは危険だってのは分かるけど、メールが来たらすぐに内容チェックしたいし……」といった形で、賛成と反対それぞれの立場における主張が頭の中で「脳内会議」をしている最中で、結論を導き出せない状態にあるのだと思われる。
警察庁など国のレベルでは「自転車の携帯電話による事故などまだまだ少数派だから、そんなに厳しくすることもないだろう」という雰囲気がただよっているように受け取れてしまう感がある。しかし現場ともいえる地方自治体では、住民などからの突き上げや、実際に起きるトラブル数の増加を受け、条例制定に向けた動きをあちこちで見せている。また、いかに自転車運転時の携帯電話使用にリスクがあるかを、マスコミなどが十分に知らしめていないのも「自転車・携帯問題」が軽視される一因だと言われている。
一番の当事者であろう若年層に「使いたい・でも危ないよね」という考えが交差しているのも、リスクの高さを十分に知らないのが一因。教育機関などが中心になり、携帯電話の正しい使い方全体の啓蒙を行い、その中で「自転車運転時の携帯電話にどのような問題があるのか」をしっかりと伝えるべきだろう。それによって、正しい情報の元で正しい判断が出来る人が増えると思われる。
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