バター需要増加に備え、5000トンを緊急追加輸入へ
2008年06月28日 12:00
農林水産省は6月27日、バターの生産量不足などから生じている供給不足をかんがみ、年末にかけて需要が増加しさらに供給量の不足とそれに伴う価格高騰を避けるため、5000トンのバターを追加輸入することを発表した。対象は業務用冷凍バターで、10月までに輸入・引渡しが行われる予定(【発表リリース】)。
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先に【バターの生産量をグラフ化してみる】で示したように、数年前までは過剰生産と需要量の漸減から、他の乳製品同様供給過剰におちいっていたバターだが、ここ一、二年ほどの間に飼料価格や原油価格の高騰、世界レベルでの需要拡大を受けて国産分・輸入分共に供給量が減り、価格も高騰。店頭からバターが消え、あるいは同価格でも分量が半分前後に減らされるなどの現象が各地で見られた。また、バターは主にパンなどの洋食の素材としても使われるため、バターの高騰でパンや洋菓子の価格上昇に拍車をかけたり、給食などに出しにくくなるという事態まで生じている。
飼料価格の高騰に耐えながら生産業者も増産に励んでいるものの、4月・5月の時点で生産量は目標値を下回っており、このままでは(年末のクリスマスケーキや洋菓子などで)需要が増える秋から年末にかけて、バターが約5000トン不足することが明らかになった。
やむなく国内産業保護用関税とは別に
設けられていた低関税率枠が
今や歓迎され拡大される状態に
すでにガットウルグアイラウンド農業合意に基づき、1995年以降は毎年一定量の乳製品(バターも含む)を農畜産業振興機構経由で低関税にて輸入しなければならないことになっている(要は国内産業保護のために高く設定されていた関税率とは別に、開放政策として一定量はその枠をほぼ取り払って輸入しようという国際協定。カレント・アクセスによる輸入とも言う)。今年分の8625トンの枠はすでに使い切ったが、今回は状況が状況のためその枠を拡大し、低関税にて5000トンを追加輸入することになった。このように、バターの低関税枠を広げて追加輸入を行うのは、1995年の同意・仕組みの施行以降はじめてのこととなる。
追加輸入分は業務用冷凍バターで、7月上中旬に3000トン、残り2000トンが8月上中旬に入札。10月までに輸入と引渡しが行われる予定。
5000トンとは一か月の国内生産量にほぼ匹敵する値。年末に増加する消費量に対応できないということは、現状では作ったそばから売れていき、ストックを行う余裕すらない状態にあるのだろう。乳製品は保存が利きにくいのが難点だが、早く量産体制を維持して欲しいものである
……が、数年前の「乳製品余り状態」と異なり、飼料価格・燃料費の高騰から採算が取れない酪農家が続出しているという話も聞く。結局「品不足」が解消されても、投機マネーによる乱雑なまでの先物市場のかき回しが収まらない限り(もちろん需要拡大という要素もあるが)、バターをはじめとする乳製品の高止まりは続いたままとなるのかもしれない。
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(最終更新:2013/08/05)
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