死因3割は「がん」が原因・長寿の大敵はやはり「がん」
2008年06月18日 12:00
厚生労働省は6月4日、2007年における人口動態統計月報年計(概数)の概況を発表した。それによると2007年に日本で亡くなった人は110万8280人に及び、5年連続で100万人を超えたことが明らかになった。また、死因については悪性新生物(主に「がん」、以後「がん」と表記)トップをしめ、全体の3割・33万6290人を数えるまでになった。この数は統計を取り始めた1899年以来もっとも多い数だという(【発表リリース】)。
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今調査は日本の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的として行われたもので、戸籍法などに基づいたデータが集計されたもの。
亡くなった人の数110万8280人は戦後のデータが残っている1947年以降においては1947年についで多く、75歳以上の数では最大の値を示している。
死亡数と死亡率の年次推移(戦後分)
表からは戦後社会インフラが整い人々の生活が落ち着くにつれ、若年層が亡くなる数が減り、その分長生きした人が寿命、あるいは高齢で亡くなる事例が増えていく様子が分かる。1979年に死亡率が最低を記録してから徐々に上昇を見せているのは、主に高齢者の割合が増えているからであり、その観点からすれば「1979年から日本の高齢化社会が始まった」と見なしても良いだろう。
また、原因で見てみると、「がん」がもっとも多く33万6290人。これは全体の30.3%を占め、統計史上もっとも多い数となっている。
死因の割合
続いて「心疾患(心不全、心筋こうそくなど)」「脳血管疾患(脳こうそく、脳内出血)」の順となっている。この順位はしばらく変わらず、他の原因の大部分が少しずつ減少傾向にあるのに対し、「がん」は1981年にトップについてから上昇の一途をたどっている。
戦後における年次推移もグラフ化されているが、それを見ても「がん」の割合が大きなものであることがひとめで分かろう。
戦後の死因年次推移
なお「心疾患」「肺炎」の双方も上昇を見せているが、前者は食文化の西洋化、後者は大気汚染やたばこを起因とするものと思われる。なお男女別のがんの部位別では、男性が「肺がん」「胃がん」の順、女性が「大腸がん」「肺がん」の順で多かった。
機会があれば改めて触れることになるが、1965年以降の逐次年における「がん」の部位別死亡率・数を見ると、この40年間ほどで男性では肝臓がんが3倍強、大腸がんが5倍、そして肺がんに至っては7倍も増加している。
これを「がんの要因となるもの、喫煙や食生活が変わりつつある」と見るのか「他の死因による死亡率が減ったことで、要因蓄積により発症する場合が多いがんを起因とするものが目立つようになった」と見るのかは統計データからだけでは判断がつきにくいが、どちらを原因としても「がん」による死亡率が増えていることだけは間違いのない事実。個人ベースでも生活環境や予防対策、さらには保険などの各種備えなど、打てる手は山ほどある。できることから一つずつ手がけ、要因をつぶしていこう。
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