原油高騰対応策・アメリカ人の3割は「●●●の開発」

2008年06月16日 08:00

ガソリンイメージ原油価格の高騰は各国の経済に深刻な影響を与えている。【USA TODAY】ではこのような現状について、「どのような対策で原油高に立ち向かうか・現実的なのか」という質問を行うと共に、それぞれの対策における現状を示している。現時点においてもっとも票を集めている選択肢は「ガソリンの代替品の開発」であり31%を占めていた。

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原油価格の高騰にどのような対策を打つべきか(6月16日時点、7556票)
原油価格の高騰にどのような対策を打つべきか(6月16日時点、7556票)
直近で最後に1ガロン当たりの価格が1ドル以下だった時以降、4ドルを超えるまでの軌跡
直近で最後に1ガロン当たりの価格が
1ドル以下だった時以降、
4ドルを超えるまでの軌跡
(USA TODAYより)

理想と現実の選択肢の中では「現実的な」ものを選んでもらうという前提で選択肢から選んでもらったところ、もっとも多いのは「ガソリンの代替品の開発」で31%を占めている。これはすでにアメリカではバイオエタノール(バイオガソリン)が相当量普及していること、最近では太陽光・太陽熱発電への注力なども加速度的に行われていることから、「身近な対応策」として目の前で進められているから、というのがあるのだろう。

次いで「採油所の新設」が21%を占めているが、これはアメリカ国内でもっとも石油を掘り、供給量を増やして値を下げようという意見。国内に多量の石油埋蔵量を誇るアメリカならではの考えといえる。そしてある意味昨今の価格上昇の最大の原因ともいえる「原油先物市場への規制」が15%を数えている。OPECや石油企業への増産、価格調整の圧力、省エネ・省ドライブなどは「後回し」状態にあるのが意外といえば意外。

なお元記事ではいくつかの選択肢について現状も説明している。いずれもハードルは低い、というわけにはいかないようだ。

・石油精製所の増設……過去32年間アメリカで石油精製所は増設されていない。改築・現行施設の規模拡大は行われている最中だが、時間はかかるし容量もあまり増えない。

・原油所の新設……海岸周辺、アラスカでの採油所の新設が予定。しかし1ガロンあたり数セントの値下げにしか寄与しないとの意見も。

・ガソリンの代替品の開発……現在のバイオエタノール(とうもろこしを原材料とする)は価格がかえってガソリンより高くなっている。雑草や木材の切りくずなどで精製することによりガソリンより安くなるよう、研究が進められているものの、数年はかかるという。
 燃料電池自動車は「電池スタンド」の数が少ないのが問題。

・省エネ・省ドライブ……より小型の自動車の購入や、ラッシュアワー時の利用を避けること、乗り合いを活用すること、空気圧の調整など、市民レベル、さらには国レベルで実施中。

・OPECや石油企業への増産・価格調整圧力……「価格高騰の悪者役」としては最適。カルテルなどには厳粛に対処するとしているが、OPECはすでに「なすべき義務は果たしている」との判断がほとんど。これ以上の増産は難しいし、したところで価格下落にはさほど影響はないだろうとの分析。

・ガソリン税の(引き上げ)延期……さらにはガソリンの連邦税の取立て一時中断(1ガロンあたり18.4セント)という話もある。しかしこれは結局道路交通網の整備維持をさまたげ、マイナスに起因するという意見が強い(どこかで聞いたような話だ)。

・原油先物市場への規制……アメリカ議会では現在、大手証券銀行やヘッジファンドの先物取引について取り締まりの強化の方向で動いている。ある専門家の分析では、この2勢力が原油価格を25%引き上げたとしている。さらに価格操作をしているという声もある。一方でこれら先物市場で暴れる投機家の影響力は20ドル分にしか相当しないと分析する人もいるという。



興味深い話として、直近の「ガソリン節約」の手法としてハイブリッド車が引く手あまた状態にあることが伝えられている。例えば【トヨタ自動車(7203)】のプリウスは同クラスの小型自動車より2000ドル(20万円)ほど割高になるが、1ガロンあたりの燃費は45マイル(72.5キロ)となる。ガソリン価格を4ドル/ガロンとすると、通常の自動車と比較して1年間・1万2000マイル(2万キロ)走行と仮定すると700ドル(7万円)の節約になる。実際にプリウスは予約が殺到しており、購入できるまでに数か月かかるという話もある。他社のハイブリッド車も似たような状況だという話はもれ伝わっている。

代替品の開発や製油所の新設、先物市場への規制などは期待はできても消費者レベルで出来ることは何も無い。せめて省エネ・省ドライブを心がける……のは面倒だから、普通に走っていてもガソリンを節約できる「手っ取り早い方法」として、ハイブリッド車が人気を集めているのだろう。ある意味、非常に合理的なモノの考え方をするアメリカ人らしい選択といえよう。

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