ユーロ圏のインフレ率は前年同月比+3.7%で過去最高・冷暖房燃料は+47.5%
2008年06月18日 12:00
【EU統計局(Eurostat)】は6月16日、EU(欧州連合)におけるユーロ圏内15か国の5月における消費者物価指数は前年同月比で3.7%上昇となり、昨月4月の3.3%、3月の0.6%、2007年5月の1.9%の上昇率を大きく上回る結果となった。さらにEU全体(27か国)では5月で3.9%となり、こちらも4月の3.6%、3月の0.6%、2007年5月の2.1%を上回る結果が出ている。ヨーロッパ全体でもインフレが加速状態にあることが分かる(【発表リリース、PDF】)。
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主要項目、及び特定品の年間上昇率は次の通り。実際にはこれらの項目にそれぞれの加重が勘案されて全体の消費者物価指数が算出されることになる。
EUの2008年5月における前年同月比のインフレ率
日本やアメリカの物価上昇傾向と同じように、IT系の耐久消費財が値を下げている一方、食品・燃料費及びそれに深い関係のある項目に、大きな上昇が見られるのが分かるだろう。特に冷暖房用燃料が1年間で5割近くも値上げしているのが辛いところ。
また、国別でも大きな違いがあり、ユーロ圏内ではイギリスが3.0(4月データ)、ドイツが3.1%、オランダが2.1%とやや低めなのに対し、スロベニアでは6.2%、ルクセンブルクでは6.2%、ベルギーでは5.1%、スペインでも4.7%と高め。ユーロ圏外ではスウェーデン・デンマークがやや低めなのを除けば大方高めで、ラトビアの17.7%やブルガリアの14.0%という数字まで見受けられる。
EU圏の中央銀行にあたる欧州中央銀行(ECB)ではインフレの目標値を2%未満と定めており、5月発表分データではこれを満たす国は一か国もないことになる。ただし失業率は4月時点で7.1%と、EU圏では比較的低水準(2005年につけた9%代以降じわじわと低下を続け、最低の水準)で推移しており、雇用問題を最優先課題とする理由は無い。【ロイター伝】などで報じられているように、EU内部でもインフレ抑制のため、今後利上げの動きがさらに加速するものと思われる。
「食品」「燃料(主に原油・石油)」の価格高騰は、そのニーズの高まりや生産増大のペースの落ち込みによる需給関係のバランスによるところもある。しかしそれ以上に先物市場などの動向・投機マネーの流入に左右される部分が大きい。状況に多少の違いはあれど、大きな問題点は世界共通のものとなりつつあるのかもしれない。
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