パン300個が1300円で買える時代

2008年06月23日 08:00

アルモハバナイメージ世界的な需要増加や投機マネーの大量流入、バイオエタノール量産のためのとうもろこしの偏産で、穀物価格が急騰する昨今。原油価格や人件費の高騰もあわせ、食品の値段が日に日に(恐らくはここ半世紀ほどの間で類を見ないほどのスピードで)上昇している。エネルギー効率の観点からも健康の視点からも、二次生産品の食肉よりは一次生産品の穀物を食べましょう、とはよく言われるものの、パンの価格まで上がってしまってはちょっと思案のしどころ。そんな中、ある読者からいただいた情報に目が1メートルほど飛び出るくらいに驚いた。いわく「楽天市場で冷凍パン300個が1300円で売ってます」。マジかい。

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冷凍アルモハバナ(オーブン使用)。送料が別だが300個で税込み1365円。
冷凍アルモハバナ(オーブン使用)。送料が別だが300個で税込み1365円。

マジでした。

段ボール箱で送られてくるアルモハバナイメージ販売していたのは『フードトレンド』という輸入食品を取り扱うお店。『冷凍のアルモハバナが300個で税込み1365円』。大きな段ボール箱1箱分のようだ。「冷凍」なのでマイナス18度以下でないと保存が利かず、賞味期限も7月まで。食べるときは解凍した上で190度のオーブンにて20~30分ほど温める必要があるため、「段ボール箱が入るほどの冷凍庫」と「オーブン(が使える電子レンジ)」の双方を持っていないと購入してもすぐに傷めてしまう可能性が高い。

この「アルモハバナ」というパン、調べてみると南米地方ではごく普通に食されている庶民向けの菓子パンで、つづりはAlmojabana。【イメージ検索】をすると上位に色々なアルモハバナが表示されるのが分かる。販売元の説明では「チーズ風味のスナックパン」「ほんのり甘くて、朝食やコーヒーのお供に。お子様のおやつにも是非どうぞ」とある。大きさの表記がないが、あんの入っていない10円まんじゅうの大型化したようなものとイメージすればよいのだろうか。それとも固めのスコーン?

それにしても定価が1万8000円なのに実売価格が1365円ってのはどうよ? というのが実感。賞味期限が来月までだから、という事情もあるのだろうし、円高が進んでいるからというのも一つの理由だろう。とはいえ、7月までの正味一か月ほどで300個のスナックパンはちょっとハードな気がする。大人数の家族なら楽勝だろうが、当方のように一人暮らしでは到底無理(試食して、という意見もいただいたが、冷凍庫におさまらないし消費しきれないのでパス)。

特殊なルートを有していていつもこのような特売りをしているのか、それともたまたま今回は在庫処分をしているからなのかは不明だが、「アルモハバナだけかな……」とこの店の他の商品を調べたところ、他にもあるわあるわ、「これでもか」というくらいの量の冷凍食品を安価で提供するものばかり。特に『冷凍パン』のカテゴリーで多く見かけることができた。

冷凍のグアバジャム入りミニペストリー。250個入りで1000円。
冷凍のグアバジャム入りミニペストリー。250個入りで1000円。

例えば南米やスペインの料理の一つ『ブニュエロ(ミニドーナツ)の冷凍版』も160個で1365円。やはり南米地方のチーズパン『ペレソソ』が100個で1050円。ミニパイのような『冷凍のグアバジャム入りミニペストリー』が250個で1050円。毎日近所の人をお誘いして小さな、ではなく大きなお茶会が開けそう。

これらのパンや菓子類は、いずれも賞味期限が近いため、「こんなに安いのなら大量に買い込んでおいて冷凍保存し、ゆっくりと消費しよう」ということは基本的に出来ない。パーティーやイベントなどで大量の食材が必要な場合ならともかく、普通の家族ベース、ましてや個人ベースで購入すると、それこそ毎日毎食主食がアルモハバナ、おかずもアルモハバナ、デザートもアルモハバナという食生活を送る羽目になるので注意が必要だ。

ネタとしては十分以上に面白いが、食べ物だけに無駄なことはくれぐれも謹んでほしい。その上で「消費できる」と確信できるのなら、注文してみるのも一興だろう。


(最終更新:2013/09/01)

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