山手線全29駅に転落防止のホームドア「可動式ホーム柵」導入へ

2008年06月04日 08:00

可動式ホーム柵イメージ【JR東日本(9020)】は6月3日、駅構内のホームでの転落事故防止のため、山手線の29駅すべてに2017年度までに転落防止用の可動式ホーム柵(ホームドア)を設置すると発表した。まずは恵比寿駅と目黒駅の2駅へ2010年度に先行導入し、検証をした上で逐次工事を行っていくという(【発表リリース】)。

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可動式ホームの概要
可動式ホームの概要
可動式ホームのシステムまわり
可動式ホームのシステムまわり

可動式ホーム柵は利用客の線路内への転落や、列車との接触を防止するために設置されているもの。車両側のドアの開け閉め操作に連動する形でホーム側地上ドアも開閉するため、車両がホームに到着していない間は線路側への立ち入りが困難となる。このホームドアはすでに東京メトロや都営地下鉄線などが導入しているが、JRグループでは新幹線以外の導入は初めてとなる。

発表されたタイムスケジュールによれば2010年度までに先行導入駅の恵比寿・目黒両駅で工事を行い2010年度から運用を開始。2012年まで検証を行い、その成果を取り入れた上で2013年度以降に本格的な他駅への導入が行われるとのこと。

山手線では利用客が極めて多いことから、ホームのスペースが狭くなることや乗り降りの時間がかかり、混雑が一層ひどくなる可能性があるとして導入には慎重だった。しかし今回正式に導入を決定したことや、約3年にもわたる実証実験を行うところを見ると、「これまでの手法では事故の防止には限界がある」と判断すると共に「より効果の高い運用・設置方法を見極めるために試行錯誤が必要」との決断が下されたものと思われる。

なお山手線の車両では一部に4扉車ではなく6扉車が用いられている。そして一部区間を併走する京浜東北線(全車両4扉車)が、場合によっては山手線の利用ホームを用いる場合がある。その場合「(山手線の)6扉車の停車する位置に(京浜東北線の)4扉車が止まる」事態となり、お客がホームに降りられない・ホームのお客が列車に乗車できない場合が出てくる。


新幹線における可動式ホーム柵のようす

これを避けるため、JR東日本では可動式ホーム柵の導入にあわせ、山手線の6扉車をすべて4扉車への切り替えを行うとのこと。ただし車両導入には時間がかかるため、恵比寿・目黒両駅の先行導入時期には6扉車が止まる場所は当初はホーム柵を設置せず、車両を切り替えてからホーム柵を導入するとのこと。

ラッシュ時にはすし詰めになる山手線で可動式ホーム柵を導入した場合、どのような問題点・メリットが生じるのかは、やはり実証実験を経た上でないと分からないだろう。便利で安全には違いないが、長きにわたる鉄道の歴史の中で、可動式のホーム柵を導入する必要に迫られたのはつい最近になってからのこと。人がより安全を求めるようになったからなのか、それとも想定しない行動を利用客がするようになったからなのか。それを考えると複雑な思いを抱いてしまうのは当方だけではあるまい。

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