衣料品や住関品の動きが鈍化…2008年5月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-1.1%
2008年06月24日 06:30
【日本チェーンストア協会】は6月23日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年5月度における販売統計速報を発表した。それによると5月は4月同様に食料品の売り上げは堅調に推移したものの、衣料品や住関品の動きが鈍かったことから、総販売額では前年同月を下回る結果が出た。母の日はお花関連のプレゼントの動きがかなりよかったようだ(【発表リリース】)。
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今調査結果は協会加入の74社・8695店舗に対して行われている。店舗数は先月比で50店舗減、前年同月比で124店舗減。売り場面積は前年同月比96.7%と3.3%ほど減っている。先月に続き、店舗数・売り場面積共に減少傾向にあるようだ。
昨今の傾向としては「店舗数減少、売り場面積増加、従業員数増加」というパターンが続いていた。しかし景気の不透明感や消費者の買い渋り感がいよいよ本格化しはじめたことに影響を受けてか、5月の統計データでは4月同様に店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示している。これは3か月前から見られ始めた傾向で、チェーンストアをとりまく環境がターニングポイントの真っ只中にある(チェーンストアという分野の小売が縮小しつつある)可能性を示している。特に従業員数は前年同月比で93.2%と6.8%も減少していることから、相当な「身を削る思い」をしているようすがうかがえる。
分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。
■総販売額……1兆0946億8869万円
・食料品部門……構成比:62.0%(前年同月比101.2%、△1.2%)
・衣料品部門……構成比:11.7%(前年同月比91.4%、▲8.6%)
・住関品部門……構成比:20.2%(前年同月比96.2%、▲3.8%)
・サービス部門…構成比:0.3%(前年同月比89.6%、▲10.4%)
・その他…………構成比:5.8%(前年同月比102.3%、△2.3%)
全体的に整理統合は続く。
ほぼすべての分野で
大幅な落ち込み。
5月は気温の変動、さらには中旬以降雨が多く降ったことも客足を遠のかせる原因となった。食料品は堅調な動きを示したものの、その他の分野はほぼ軟調で、特に衣料品やサービス部門の下げ率がキツい。全体に占める割合はわずかでしかないが、該当する項目内容が「旅行関係・チケット販売」であることから、顧客層の「倹約モード」がレベルを上げていることが容易に想像できる。
食品部門はほとんどの項目で堅調。これはコンビニなどと比べると割安で手に入る場合が多く、100円ショップと比べれば品揃えが良く買い物が一度で済むことなど「スーパー・デパートを入手先に選ぶことのメリットが明確化できるから」だろう。
今回発表月では衣料品部門の不調が目立つ。文頭にもあるように、「母の日」のギフトで売れたのはお花関係で、婦人服をはじめとしたギフト関連は不調だったとのこと。該当月が「母の日」を含み、母の日ギフトのセールスが期待できただけに、それが「空振り三振」状態だった反動はきわめて大きい。
お客の節約志向強まる。
また、住関品でも藤家具などの季節商材はやや堅調なものの、「エアコンを選ばずに扇風機を選ぶ」傾向が見られるなど、「高いものには手を出さない」「安くてちょっと生活を変えられるもので我慢する」顧客動向が見えてくる。
先日発表されたコンビニエンスストアの5月度売り上げは、タスポ効果で来客数が増え、さらに「ついで買い」をした人も多く、来客数だけでなく客単価もアップしたという記録が出ている。客の奪い合いという観点では「食品部門はうちに任せなさい」と気を吐いていたデパート・スーパーも、このままでは一部をコンビニに奪われかねない。
「タスポ特需」のような特需をデパート・スーパーに求めるのも酷、というより「特需」は待ち望めば必ずやってくるものではない(まるで「待ちぼうけ」のうさぎと木の株のような話だ)。お客がデパートやスーパーに何を求め、どの点で賢くなり、どんなニーズを求めているのか。元々マーケティングには長けた業界であることは間違い無いが、直近のデータを(ライバル業界のそれも含めて)すみからすみまで精査しなおし、デパートやスーパーにしかできないことを探り直し、お客を呼び寄せる方策を模索する必要があるに違いない。
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