SBIイー・トレード、インサイダー取引防止の管理体制不備で行政処分勧告

2008年05月14日 08:00

証券取引等監視委員会は5月13日、ネット証券最大手の【SBIイー・トレード証券(8701)】を金融商品取引法違反で行政処分を行うよう金融庁に勧告したと発表した。不正取引の防止を図る内部管理体制に不備が見つかったため、是正をおこなう必要性があると判断したため(【発表リリース】)。

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リリースによると「金融商品取引法違反」と判断した理由は次の通り。

1.内部者登録の検証態勢が構築されていない
 口座開設の際には本人、あるいは親族が上場企業の関係者かどうかを確認する仕組みがある。インサイダー取引を防止するためのものだが、この内部登録が正しいかどうかをチェックする態勢が存在しなかった。つまり委員会発表資料の限りでは「各個の善意にお任せ状態」で、事実を述べなくてもスルーパスだったことになる(実際に内部者登録漏れが認められている)。

2.法人関係情報に関する不公正取引防止のための売買審査が「まったく」行われていない
 口座を開設し顧客が売買を行う際、その売買が不正なものかどうかを確認する「売買審査」について、まったく行われていなかったことが判明した。


今件について公正取引等監視委員会の発表会見のようすが【ロイター通信】で伝えられているが、「イートレードはネット証券の最大手で横綱のような存在。(情報管理などに関して)リードして欲しい会社がこれでは困る」「ネット証券の最大手というのに検査官も驚いた」という言葉が委員会幹部の言として伝えられている。最大手の不備であるだけに、調査側も衝撃を隠せなかったようだ。

今回の行政処分勧告に対しSBIイー・トレード側では「このたびの勧告が行われたことを厳粛に受け止め、より一層の内部管理体制の強化・充実を図ってまいります。今回の指摘を受けて、すでに、公表された重要事実をデータベース化して個別の取引を照合することで不正取引を監視できるシステムの構築に着手いたしました」とコメントし、証券取引等監視委員会の指摘が事実である事、体制改善の対処に着手したことを明らかにしている。

今回はインサイダー取引そのものが発覚したわけではなく、それが容易におきうる体制を野放しにしていたことに対しておとがめを受けたもの。それが幸いといえば幸いだが、証券会社絡みの不祥事といえば昨今では【野村證券社員インサイダー取引事件報道から垣間見られる「監視する側」の思惑】にもあるように野村證券の(元)社員による大規模なインサイダー取引が記憶に新しい。

この野村の不祥事に対しSBI・イートレードの親会社である【SBIホールディングス(8473)】の北尾吉孝最高経営責任者は「管理体制、組織体制が甘いとしか言いようがない」「21の案件の情報を得ていたということは、管理体制、組織体制が甘いとしか言いようがない」「他山の石として大いに今回のことを議論し、社内の体制固めをする」「一番大事なのは企業の文化であり企業の風土」「企業の文化や風土は倫理的価値観だ。金融の世界はおカネを扱う。おカネを扱う世界では倫理的価値観は他の業界よりも高度でなければいけない」と痛烈に批判すると共に持論を語り、自社の体制強化のために役立てると言及していた(【ロイター通信】)。

その言及の直後における行政処分勧告で、しかもその内容が(北尾氏が言及していた)内部管理体制の不備によるもの。非常にばつの悪い形になってしまったことは否めない。良い意味でも悪い意味でも大きなインパクトになったことには違いないのだから、勧告に従い業務体制の改善を積極的に推し進めて欲しいものだ。

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