【更新】夜に強い「うなぎパイ」も国産バター不足と資源高騰には勝てじ

2008年05月31日 12:00

うなぎパイイメージ穀物価格の高騰や、飼料・原油価格の高騰が連鎖反応を起こす形で、国産のバターなど乳製品の品物不足と価格高騰化現象がおきている。つい二、三年前までは「牛乳や乳製品が大量に余っている」などと報じられていただけに、生産調整の甘さを実感させられてしまう。その乳製品不足・価格高騰化が、浜松名物として全国的にも有名な「うなぎパイ」にも打撃を与えているという記事が[毎日新聞]に掲載されていた。改めて調べてみると、確かに「うなぎパイ」も昨今の食品を取り巻く問題点の渦中にあり、さまざまな「苦渋の決断」を迫られているようである。

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あのうなぎパイも……
あのうなぎパイも……

「うなぎパイ」は「夜のお菓子」のキャッチコピーで有名な浜松市の特産品で、うなぎのような細長いパイにうなぎエキスを練りこんでいる。【春華(しゅんか)堂】で生産・販売されており、1961年に発売を開始してから多くの人に愛され、同市の代名詞的なお菓子として全国に名を知られるようになった。2007年は8700万本を生産したという。

しかし三大原材料の「小麦」「砂糖」「バター」の中でも、独特の風味と食感を出すために欠かせない国産バターについて、業者からの納入量の減少と価格の高騰が相次ぎ、3月30日付けで同じくバターを使う姉妹品『えび汐パイ』と『うなぎパイ詰め合わせ(お菓子のフルタイム)』の販売を一時休止した。しかしそれでも必要に足るバターの確保は難しく、6月1日からは通信販売の休止を発表している(【発表リリース】)。

さらにバターだけでなく小麦粉、包装紙などその他の原材料価格も値上がりし、商品価格そのものも10~20%の値上げをせざるを得ない状況になった(【発表リリース】)。

昨年夏以降の急速な物価上昇は、主に原油や小麦粉をはじめとする資源価格の高騰が原因。新興国の需要増加で需給のバランスに変化が生じたことも一因だが、それに乗じて投機マネー筋が(サブプライムローン問題で低迷している株式市場から)商品先物市場に殺到し、過剰資金のやり取りの中で急速に商品先物価格の値がつりあがったことが、最大の要因といえる。また食物に限ればバイオエタノール絡みで「儲かるから」とばかりに食用の穀物の生産が減らされてしまい、「食べるものも燃料にまわす」という奇妙な図式が農家の間に広まっているのも見逃せない。

当方は東京住まいなので「うなぎパイ」を口にする機会はあまりない。しかしあのサクサク感と口に含んだ時に広がる甘みは忘れがたく、たまにお土産にもらったりすると、大切に少しずつ食べたものだ(もっとも後ほど、「源氏パイ」などが代用品になることを知って、自分の中の希少度はやや変化してしまったが)。

牛乳・乳製品も結局資源高騰が品不足・価格高騰を起因としているので、一朝一夕には問題は解決されまい。「うなぎパイ」そのものの生産中止、とまではいかないだろうが、通信販売で買い求められなくなったのには、悲しさを覚えざるを得ない。

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