他人の目と自分の想い~ブロガーたちが持つ意識と信条

2008年05月26日 12:00

他人の目イメージマイボイスコムが5月25日までに発表した調査結果によると、ブログ運営者(ブロガー)は「他人に読まれることを意識してブログを書いている」人が過半数を超えていることが明らかになった。また、書く際のポリシーとしても「他人の目に触れることを前提としたマナーやルールを設けている」人が6割以上に達している。基本的にブログが「ウェブサイト上の文章置き場」「テキストのホームページへの簡単変換ツール」「公開日記」のようなものとして産まれ、多くの人にとって「アクセス数など関係ない」(【ブロガーのアクセス数への意識、もっとも多いのは「特に気にしていない」】)ものであったとしても、他人の目を何らかの形で気にしていることが分かる(【発表リリース】)。

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今調査は5月1日から5日の間にインターネット経由で行われたもので、回答者数は1万4363人。男女比は46対54で、年齢構成比は30代がもっとも多く37%、次いで40代29%、50代以上17%など。アンケート応募フォームはパソコン上からのものだが、「ブログ」とのみ記載されており開設メディアは限定されていないので、携帯向けブログも含むものと解釈する。

他人の目を気にするブロガー、気にしないブロガー

ブログ運営者、運営経験者に「自分がブログを書くときに意識すること」について複数回答でたずねたところ、「他人に読まれることを意識して、記事を書いている」と回答した人が過半数を占めた。

自分がブログを書くときに意識すること(複数回答)
自分がブログを書くときに意識すること(複数回答)

過半数の人は、インターネット上に文章が配され読まれる可能性がある以上、他人の目に触れることを考えて行動(記事を書く)しなければならないと考えている。それが自分自身のためであり、また他人のためでもある、という認識だろう。

その他「固定読者」「求められているもの」「口コミ」あたりの意見を見ると、ブログが単なる文章置き場の枠を超えて、同人誌やミニコミ誌のような、「個人ベースの情報発信ツール」として認識され、その認識に沿ってブロガーが記事を書いているように見える。

・他人の目を意識するブロガー
……ミニコミ誌、同人誌、マスコミ的な想い
・他人の目を意識しないブロガー
……特に何も考えていない、あるいは
 自然体の「情報発信」の考え方!?

一方ブログそのものについて「他人の目を意識せずに自分の思うことを書けるのがブログだと感じている」は3割近く。何にも意識していない人は12.0%。

ブログではワープロのようにテキスト打ちが出来れば、あとはプラスαの作業をするだけで、きれいな体裁を使ってインターネット上に文章を掲載することができる。要は単なるホームページ制作ツールの一種に過ぎないものであり、「ハードルが低い」ものであっても不特定多数の人に見られうる状態に文章が置かれることになる。たとえるなら、道端に自分の日記をそっと置くようなもの。そしてその日記が誰に読まれようが文句を言うことはできない。何しろ、自分が置いたのだから。

そのようなブログにおいて、「他人の目を意識せずに自由にモノが書ける」人はある意味勇気があるもののように思える。あるいは「気兼ねせずに自己主張をする。それこそが新しい観念の『情報発信』」と心の奥底で考えているのだろうか。もちろん最低限KYならぬ「空気を読む」配慮は必要だ。

自主ルールと「空気を読む」能力

他人に読まれていることを自覚して書くブロガーが多い一方、「気兼ねしない」割合も3割ほどいることが分かったが、それぞれ何らかのポリシー(信条)や自主ルールは持ち合わせてあるはず。それとも何も考えず、「空」の心境でブログを書いているのだろうか。

ブログ記事執筆時の信条、意識していること(複数回答)
ブログ記事執筆時の信条、意識していること(複数回答)

「他人の目に触れることを前提としたマナーやルール」を持つ人が6割を占めている。また、他人に読まれることを前提に、その内容についての自己責任を感じている人も過半数を占めている。これらの各項目、あるいは両項目に当てはまるブロガーは、【人気ブログには●●●●が必要】で触れた「目的意識を持ったブロガー」なのかもしれない。

他方「マスコミやメディアとは別のもので、個人の趣味を外れるものではないから、誇張や脚色くらい問題ないだろう」さらには「他人への責任など考えたこともない」そして「他人は勝手に自分の文章を観るのだから、文句は言うな」的な意見も少数ながら見受けられる。

誇張や演出はともかく、他人への責任を感じないという意見や「勝手に観る」云々は少々筋違いかもしれない。たとえるなら大通り沿いのホテルの一室に部屋を借りて通りの面の窓を全開にし、素っ裸で「ふしぎなおどり」を大声をあげながら踊り、その上で「こっち見んな」と文句をつけているようなものだ。

不特定多数の人に観られる可能性が高い場所に文章を置いた時点で、責任と閲覧される可能性が発生する。それを望まないのなら自分のパソコンの内部だけで記録するか、何重にもパスワードやアクセス権限などで制限を設けた領域内でアップロードするしかない(SNSを使う手もあるだろう)。


ブログの書き手、つまりブロガーがどのような自己ルールや心境で書いていたとしても、読み手がそれを把握しきれるかどうかは分からない。自分のルールはこれこれこうだからとして書いたつもりでも、読み手がその意図を読み取ってくれない場合もある。その駆け引きが面白く、また注意すべき点でもあるのだが、そのこと自体を面倒くさいと考えるブロガーも多いのだろう。

それならそれはそれで、「街中で友だちと歩きながらの会話のように、文章を書き連ねれ」ばよいだけの話、ともいえる。自分の知人に向けたメッセージだが、第三者にも聞かれる可能性がある。そう考えてモノを書けば、自主ルールがどうだの、空気を読む能力がこうだのと深く考えなくても良い。

……やや余談になるが、今回のデータからは「ブログを書くにあたって何かを意識したことはない」「特に信条などない」がそれぞれ1割強見受けられた。この両者がそのままイコールというわけではないが、もしかするとブロガーの1割ほどは「何も考えず、何もポリシーを持たず、ただなんとなく書いている」可能性もある。端から見れば異質な内容なのだろうが、逆にそのような中に「きらりと輝く宝石」のようなものが見つかるかもしれない。


(最終更新:2013/08/05)

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