「メールの返事がこないと不安」子どもの携帯依存傾向
2008年05月24日 12:00
日本PTA全国協議会が5月15日に発表した【子どもとメディアに関する意識調査】によると、小中学生が携帯電話などを利用する上で起きることとして、「料金の使いすぎ」「絵文字で気持ちを伝える」「メールの返信がないととても不安」などが上位にリストアップされていることが明らかになった。小中学生の間にも「携帯依存」の傾向が強まっている雰囲気が見受けられる。
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今調査は2007年11月12日から26日までの間、調査票を配布し記述してもらった上で回収する方式で行われたもので、有効回答数は小学5年生が1753人、中学2年生が1942人、保護者はそれぞれ1700人・1777人。男女比は子供が49.5対49.6(無回答0.9)。保護者は母親87.7%、父親10.0%(その他、無回答あり)。年齢は30代が32.0%、40代が59.9%。共働きか否かでは共働きが58.0%、共働き以外が29.8%(その他、無回答あり)。
小学5年・中学2年それぞれの、携帯電話利用時に起こること(≒心配していること)で「ある」と答えた項目の多いもの(10%以上)を挙げると次の通りとなる。
■小学5年
1.絵文字で気持ちを伝えることが多い……41.7%
2.メールの返信がないととても不安になる……18.0%
3.思わず使用料金を使いすぎてしまう……17.5%
4.つい長電話をしてしまう……12.4%
5.友だちにも相談できないことがある……11.5%
6.深夜でもかまわずメールのやりとりをしてしまう……11.2%
■中学2年
1.絵文字で気持ちを伝えることが多い……54.0%
2.深夜でもかまわずメールのやりとりをしてしまう……51.4%
3.親の知らないメル友がたくさんいる……34.9%
4.思わず使用料金を使いすぎてしまう……34.7%
5.メールの返信がないととても不安になる……24.3%
6.食事中やだんらん中でも携帯電話などを手放せない……21.1%
7.つい長電話をしてしまう……19.5%
8.公共マナーをつい破ってしまうことがある……18.5%
9.勉強中や授業中でも携帯電話などが気になってしょうがない……16.3%
10.友だちにも相談できないことがある……14.0%
11.すぐに返信しないで、友だちにキレられたことがある……11.9%
12.友だちの許可無く、他の人に番号やアドレスを教えたことがある……11.6%
12.会ったことのないメールだけの友達が5人以上いる……11.6%
14.フィルタリングについて聞いたことがある……10.2%
小学生ですら2割近くが「メールの返事がこないと不安になる」と回答している。メールへの依存傾向がそれなりに高く、数字が跳ね上がる中学生になるとその不安は高まっている様相が見て取れる。
「絵文字の多用」のような単に「携帯への依存度が高まる」ものに加え、メール着信がないことによる不安や「食事中やだんらん中でも携帯電話などを手放せない」「勉強中や授業中でも携帯電話などが気になってしょうがない」など、「依存'症'」と表現した方が良い問題傾向が、中学生において明らかに増加しているようすがうかがえる。
同様の質問を保護者にしたところ、もっとも心配なのは「料金の使いすぎ」という金銭面での問題で、メールや掲示板などで問題に巻き込まれるリスクが次いでいる。「特に心配ない」と回答した保護者は小学生の親で32.9%、中学生のは14.7%にとどまり、子どもが認識しているような心配事を、それなりに感じている(が具体的なことまでは分からない)ようだ。
たばこやお酒などと同様に、依存症というものはたいていにおいて本人自身が自覚することはなく、それゆえに他人に助けを求めることもあまりない。子どもたちも個々の問題には「まずいな」「良くないな」「どうにかした方がいいのかもな」と感じている部分もあるが、それが総合的な「携帯依存症候群」で、場合によっては改善を求められるような状況にあることまでは気がついていないのだろう。
状況の改善のためには、携帯電話のメリット・デメリット、使用上の注意の啓蒙を進めると共に、親子のコミュニケーションが求められることだろう。
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