首都圏の地価は「西高東低」「南高北低」

2008年05月21日 08:00

住宅イメージ【東急不動産(8815)】では毎年、東京を中心とした首都圏における地価の分布図や測定時における年収の5倍以内で購入可能な地域などのデータを公開している(現在は2003年以降の分についてのみ公開)。最近では需要の減退などで不動産の投売りが一部で耳に入っているが、それらの情報も含めてさまざまな首都圏の地価の変遷をビジュアルで知ることができる(【該当ページ】)。

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2007年における首都圏地価分布図。青、赤、黄、緑の順に地価が安くなる
2007年における首都圏地価分布図。青、赤、黄、緑の順に地価が安くなる

それぞれの年度では地価分布図と共に、その分布図を基にした分析も掲載されている。ざっと見の感じでは

・山の手線内部の地価はやはり高い
・東京東部より西部の方が地価が高い傾向。中央線にそって地価の高いエリアが伸びている
・地価が特に高い地域は東京中心部から半径20キロメートル圏内
・都心からの距離と地価の関係は「西高東低」「南高北低」の傾向


というのがわかる。なおこの地図はあくまでも価格帯に区切ったものなので、実際にはその価格帯の上下ぎりぎりの地価の場所もあることや、住宅地価格を対象としたもので商業地は考慮に入れていないこと、外縁部などは宅地見込み地(∵住宅がまだ建造されていないため)の価格水準を示している場合が多いことなどに注意する必要がある。

2003年イメージこれをたとえば掲載データとしては一番古い2003年度のものと比較すると、都心から20キロ圏内前後の地価はさほど変わらず(高いまま)であるが、周辺地域(30キロ前後以上)になると地価の下落傾向が見られることがわかる。これは主に「交通便利性の高い地域へのニーズは高いままだが供給量に大きな変化はないため地価が高止まりの状態にあるが、そうでない地域は需給のバランスが崩れ地価が下落している」という傾向が見て取れる。

また、首都圏では移動機関として鉄道がもっとも重視されているということもあり、先の中央線にもあるように幹線鉄道路線沿いに地価高騰地域が伸びているという傾向も見て取れる。さらに「西高東低」「南高北低」の傾向も、鉄道網の整備状態がそのまま地価に範囲されているという感が見受けられる(特に東京南部~神奈川県では、私鉄線が張り巡らされていることもあり、地価が高止まりしているのがわかる)。

これらの地図を見ると、地域ごとの地価の変遷が手に取るようにわかるし、交通機関、特に鉄道の有無が住宅地としての地価に大きな役割を果たしているのが理解できる(『A列車で行こう』シリーズや、古くはメディアファクトリーの『財閥銀行』などを思い起こす人もいるだろう)。

今年の地価も来年には発表されるだろうが、3月末決算の各不動産セクターの決算諸表に目を通したり、月次の住宅着工関連データを見る限り、去年後半から住宅の需給や地価に大きな変動が起きている。一部地域を除いて供給過多・価格の下落傾向が相次いでおり、この状況はしばらく続くものと思われる。おそらく2008年分の地価分布図は、2007年とは大きく様変わりしていることだろう。


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