似たもの画像をピックアップ・類似画像検索エンジン「TinEye」
2008年05月15日 12:00
先に【あのGIGAZINEライクなデザインが出来る!? Gigazinize Toolsを実践してみる】で画像処理系のサイトを探していた際に目に留まったのが【百式「画像をアップすると似たような画像を一気に検索してくれる『TinEye』」】で紹介されていた【TinEye】というプライベートベータ版のサイトサービス。要は画像を入力するとその画像に似たものを「自動的に」探し出してくれるというもの。一言で表現すれば「画像版検索エンジン」といったところか。
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TinEyeによるデータ入力と検索結果の一例
残念ながら限定公開のベータテスト中のため当方が具体的に検索をしてその精度・仕組みを確かめることは出来なかったが、【開発陣のブログ】などである程度状況を把握することはできた。
画像がアップロードされているURLを指定したり、コピー&ペーストで任意の画像をアップロードすることで、その画像に近しい画像の一覧を表示してくれるというもの。リサイズされていたりトリミングされている、減色されている画像は実質的に同じものだから「似ている度」は非常に高く、それらも当然ピックアップされることになる。
また、下記の写真にあるように、元絵を使ったパロディ的な絵の抽出もできる。
かの有名な「ジョーズ」のイラストを元に検索
パロディの絵を探して楽しむだけでなく、パッケージデザインを検索してどのようなメディアでその作品が発売されているかをチェックしたり(ビデオやCD、書籍などではその代表的なイラスト・写真がカバーに使われている場合が多い)、イラストの類似性を検証するなど、利用用途は多種多様なものが考えられる。単に一般利用者だけでなく、さまざまなコンテンツの製作者サイドにも使い勝手の良いサービスとなりそう。
細かい仕組みまでは(当然のことながら)公開されていないが、恐らくは画像そのものの特性を何らかの形で項目分けしてデータ化し、近似値の多いものからピックアップしているのだろう。いわば「タグ付け」。突き詰めれば普通のテキスト版検索エンジンと考え方は同じ(のはず)。
類似画像をチェックするサービスといえば、先に【「マルサの女」も顔負け? 富田林市が航空地図システムで固定資産税もれ物件を500件も発見】で触れているように、地図の画像データレベルではある程度実現している。またデータの次元は異なるが、音声データという観点で見れば鼻歌検索エンジン【midomi(ミドミ)】が記憶に新しい(参考:【鼻歌検索サイト「midomi」日本語版本日公開】)。これも結局音声に変換できる「デジタルデータ」の近似値ピックアップから来るものだ。
動画レベルで考え直してみれば、「似たもの探し」というと【違法な動画検索サービス「ロバストメディア検索」実証実験開始】や【違法動画を自動検出・KDDI研究所が新技術開発】などが思い浮かぶ。これらも詳しい仕組みは公開されていないが、やはり類似している動画を探して抽出する機能は変わるところがない。
こうして考え直してみると、どのような出力媒体(今回の「TinEye」なら画像、midomiなら音声データ、ロバストメディア検索なら動画)にしても、元々はデジタルデータに過ぎないこと、そしてそのデータをいかに分析・項目分け・タグ付けし、類似点を探すのかという「仕組みづくり」次第であることがわかる。あとは発想の転換とビジネスモデルの展開次第で、いかようにも出来る。
「TinEye」のデモンストレーション動画。少々画質が荒いが、どのように使われているのかが分かる。公式サイト上に掲載されている動画とあわせてごらんあれ。
「TinEye」がどのようなビジネスモデルを用いるのは不明だが、恐らくは通常の検索エンジン同様にトラフィックを集めた上で広告収入による運営を計画しているのだろう。文字の検索と比べれば多少ハードルは高いものの、専門的な利用という点ではむしろ広告が集まりやすいともいえる。
元記事の「百式」でも指摘されているように精度の高さが最大のポイントで、こればかりは実際に試してみないと判断できないが、今後の展開が期待できるサービスと思われる。
(最終更新:2013/08/06)
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