一食で二日分! アメリカ最強の「塩っぱい」料理たち
2008年05月05日 12:00
過去の記事【「アメリカで一番健康に悪い」のらく印を押された食品たち】や【マクドナルドかバーガーキングか、それが問題だ!?……アメリカ風ダイエットのススメ】などでいかにアメリカの人たち(の少なくない部分)が食いすぎパワフルな食生活を過ごし、栄養過多におちいっていることが理解できた。その一方、これらの記事を書いている時に気になったのが「塩分はどうなのだろうか」ということ。当方(不破)自身塩分の制限を科せられているため、むしろそちらの方が気がかりだったが、その疑問を解消してくれた(?)のが【20 Foods Your Cardiologist Won't Eat】。直訳すると「高血圧などが心配な人は食べたらいけない塩分過多の20食品」。いつものMen's Healthのコラムコーナーからの記事だ。
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元々塩分は体の維持には欠かせない成分だが、同時に取りすぎてもいけないもの。【厚生労働省のページ】などにもあるように、塩分の取りすぎは高血圧・胃がん・心臓の病気などの起因となる。日本人の目標摂取量は1日10グラム未満。一方で現状では1日11~12グラムが平均的な摂取量だとのこと。また海外では【イギリス】が約10グラム(男性)・約8グラム(女性)、【アメリカ】では約13グラムという数字が出ている。
ちなみに最近では塩分の代わりにナトリウム量がよく表記されている。塩分量が知りたいのなら単純計算で「ナトリウム(mg)×2.54÷1000=塩分相当量(グラム)」と導き出せる。例えば1000mgのナトリウムなら塩2.54グラム分となる。
元記事では「塩分取りすぎだよ」「塩分摂取の77%は外食と加工食品によるもの。なぜなら味と新鮮さを保つには塩分が欠かせないから」と説明した上で、「塩分過多の食品たちは新鮮な野菜や果物であるかのような見せ掛け食品でもある」とし、「体に刺激が強すぎる(上記の病気起因になる)から避けて欲しい」と強調している。
リストアップされているのはタイトル通り20種類のカテゴリ別に「もっとも塩分べったりな食品」。日本ではなじみの薄い、あるいは手に入らないものもあるので、20種類の中から目立ったものを挙げてみる。
●「健康」食部門:Chili's Guiltless Grill Chicken Platter
・塩分7.1グラム(手のひらいっぱいの塩ピーナッツ32杯分)
・590キロカロリー
・健康食をうたった食品はカロリーが確かに低いかもしれないが、その分塩分量がかさ上げされている場合もあるという好例。
●デザート部門:Atlanta Bread Company Raspberry Scone
・塩分4.5グラム(ポップコーン35杯分)
・360キロカロリー
・果物スコーン。ベーコン7人前とのこと。同じ会社でデザートを頼むのならかぼちゃパンを選べ、とある(塩分1/10)。
●子供向け食品部門:Cosi Kid's Pepperoni Pizza
・塩分6.9グラム(ポテトチップス小サイズ13袋分)
・911キロカロリー
・子供向けピザ。数か月前は塩分表記が現状の3倍近くあったとの事。成分を改良したのかあるいはその他の理由があったのかは不明。それでも7グラム近い塩分が多いか少ないかは自明。
●ハンバーガー部門:Hardee's 2/3 lb Monster Thickburger
・塩分7.0グラム(マクドナルドのフレンチフライ8人分)
・1420キロカロリー
・パンズだけで一日の塩分摂取量をオーバー。パティの部分がさらなる塩分を追加する。同社メニューの中にも塩分が少なめのものもあるので、せめてそちらを。
●パン部門:Dunkin' Donuts Salt Bagel
・塩分11.5グラム(マクドナルドのフレンチフライ13人分)
・320キロカロリー
・塩分まみれのプレッツェル。1日の希望塩分摂取量の2倍近く。
●ピザ部門:Pizza Hut Meat Lover's Stuffed Crust Pizza(14インチサイズを3切れ)
・塩分12.9グラム(ベーコン34枚分)
・1560キロカロリー
・色々なトッピングを加えた注文をしないように(それだけ塩分が増える)。
そして栄光(?)の「アメリカで最強の塩っぱい食事」はこちら。
●総合部門:Romano's Macaroni Grill Chicken Portobello
Romano's Macaroni Grill Chicken Portobello
・塩分18.5グラム(ベーコン48枚分)
・1020キロカロリー
・直火焼きした鶏肉とPortobello(きのこの一種)を一緒に砂糖漬けにし、ほうれん草とパスタをあえて、とろけたモッツァレラなどをかけた料理。カリウムには塩分を中和する作用があるが、この料理一人前の塩分を中和するには、ブロッコリーを32カップ分(32個ではない)食べなければならない。
冒頭で触れたように、塩分そのものは人が生きていくために欠かせない成分。また、個人差や環境の違い、さらには人種間(体質など)の違いにより、必要量も異なってくる。一様に線引きするのはやや問題がある。
とはいえ、今回リストアップされたもののように「一日あたりの平均(希望)摂取塩分量を一食で充足してしまうような食品」は、やはりどこかしら問題があるに違いない。ちなみに以前の「「アメリカで一番健康に悪い」のらく印を押された食品たち」の記事の際に質問があったのだが、これらはすべて「一人前」の分量における計算。
思い返してみると、日本でもカロリーやアレルギー性成分に関する表記は積極的に行われるようになったが、それらと比べると塩分表記に関しては一歩腰が引けているように感じられる。当方も退院後、片っ端から自分が利用していた総菜屋やインスタント食品、ファストフードについて調べたので、それについては経験則から分かる。
例えば【吉野家の牛丼】ではカロリーや食材原産地、アレルギー原材料の表記はあるものの、塩分に関する言及を見つけることはできない。恐らくは(吉野家に限らず)外食産業やファストフード、加工食品では塩分については色々と心苦しいところがあるので、及び腰なのだろう。
ダイエットと共にメガ食品がブームになるという、ちょっとおかしな現象が起きている昨今。カロリーの多い少ないに注目が集まり、その他の栄養成分の注目が薄れつつある。「すべての成分を明確に表記しろ」とまでは言わないが、カロリーやアレルギー原材料以外にせめて塩分(ナトリウム)くらいはすぐに分かるような表記をしてほしい。今回「アメリカ最強の「高塩分食品」たち」を「他山の石」のように感じ、「人の振り見て我が振り直せ」という言葉を思い返したのは当方だけではあるまい。
(最終更新:2013/08/06)
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