日経平均株価と「外国人投資家売買動向」の関連を調べてみる

2008年05月04日 12:00

株式イメージほぼ毎週、東京証券取引所から発表される外国人投資家の(東証一部上場企業銘柄における)売買動向を解説しているが、その中でしばしば使う言い回しが「市場動向が外国人投資家の売買に大きく影響されうる」。要は「外国人投資家が大きく売り超していれば日経平均株価も下げ、買い超ししていれば日経平均株価も下げる」傾向にあるというものだ。週単位での動向ではそのように見えるが、少し引いた場からながめてみた場合、同じ事がいえるのだろうか。過去のデータを元に検証してみた。

スポンサードリンク

東証の【投資部門別売買状況】のページでは、直近のデータが掲載されている。しかし週単位では過去5週間分のデータしかない。圧縮ファイルでまとめて提供されているのは年間・月間ベースのもののみ。月間ベースではデータが荒すぎる。

週単位のデータを探してみたが、東証では過去のデータは「リンクからは」削除しているようで見つからない。そこで当サイトで毎週「外国人投資家売買動向」の報告をするようになった2007年8月第2週以降について、売り超し・買い超し額と該当週の週末における日経平均株価を抽出し、グラフ化してみた。それが次の図だ。

2007年8月以降の日経平均株価動向と東証一部上場銘柄における外国人投資家の売買動向(金額ベース)の推移(週間単位)
2007年8月以降の日経平均株価動向と東証一部上場銘柄における外国人投資家の売買動向(金額ベース)の推移(週間単位)

【「外国人投資家」と彼らの行動について】【「『外国人投資家』と彼らの行動について」後日談】でも説明したように、いまや外国人投資家の売買は東京株式市場において(とりわけ東証一部銘柄で)大きなシェアを持つようになり、彼らの売買動向は(東証一部銘柄から構成される)日経平均にも大きな影響を及ぼす。個人や証券会社、法人の売買動向も影響してくるので「外国人投資家が売りなら絶対に日経平均は下げる」というわけではないが、

・外国人投資家が売り超し続ける期間は日経平均も下げ続ける。
・外国人投資家が買い超し続ける期間は日経平均も上げ続ける。
・外国人投資家が大きく売り超し、買い超しした時には相場も同じ方向に大きく動く(例外:2007年9月第2週)


傾向があるのが分かる。もっとも、売買代金シェアが一番多い勢力なのだから、当然といえば当然なのだか。

また、グラフを重ねてみると、2007年8月のいわゆる「サブプラショック」による大幅下落のあと、外国人投資家の売り攻勢で日経平均が頭を抑えられてじわじわと値を下げていることや、日経平均の下落度合い・外国人投資家の売り攻勢はむしろ2008年に入ってからの方が加速しているのが分かる。

外国人投資家の売買動向では
3月第2週がセリクラ?

チャート的には今年の3月第2週で外国人投資家の売り超し額が頂点に達し、それと共に日経平均も底値をつけ「セリング・クライマックス」を形成。以降はじわじわと買い超しに転じ、日経平均株価も回復に向かいつつあるように見える。「そもそも論」として外国人投資家が売りを強めねばならなかった、世界全体における金融市場の不安定感や日本の政局・経済・市場への不信感は一向に回復の様相を見せていない。しかし買いの圧力が強まっているのは事実。恐らくは、チャート上からの判断によるところが大きいのだろう。

4月に入ってからの株価の堅調さがこのまま続くこと、チャート的な上昇機運をぶち壊すようなイベントが起きないことを祈りたいものだ。


(最終更新:2013/08/06)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ