ビタミンB6の積極的摂取が心筋こうそくリスクを軽減する可能性

2008年05月28日 08:00

食事イメージ厚生労働省研究班による多目的コホート(JPHC)研究班は5月27日、バナナ、イワシなどの魚類、お米、にんにくなどに多く含まれるビタミンB6を食事で積極的に摂取している人は、心筋こうそくをわずらうリスクが半数近くに減るという調査結果を発表した。日本人は元々ビタミンB6の摂取量が低いとされており、研究班側ではビタミンB6を多く含む食品を口にすることが、心筋こうそくの予防につながる可能性があるとのべている(【発表リリース】)。

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今調査は岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部の4地域で40~59歳の約4万人を対象に、食生活や生活習慣を確認。高齢、男性、喫煙、肥満・総合ビタミン剤摂取など他の要因でも心疾患のリスクが高まることが確認されているので、それらの影響を取り除いた上で葉酸、ビタミンB6、およびビタミンB12の摂取量について5グループに分類。そして、心疾患発祥との関連性を調べてみた。

するとビタミンB6については摂取量がもっとも少ないグループに比べそれなりに・多量の摂取をしているグループは「統計学的に有意な関連の見られる」リスクの軽減が確認できた。さらにこれを心筋こうそくのみに限定すると、ビタミンB6との関連性はさらに強くなったという(葉酸、ビタミンB12でもそれなりに有意な傾向が確認されている)

葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12摂取量と心筋こうそくとの関連性
葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12摂取量と心筋こうそくとの関連性

「それではビタミンB6を特に集中的にとればよいのか」というとそうではなく、それぞれが別々の役割を持っており、一つでも量が少ないと(血中ホモシステインが上昇し)心筋こうそくの要因になるとされている。実際今回の調査でも、3栄養素の組み合わせとリスクを見てみると、「3つとも高いグループは3つとも低いグループのリスクの半分」「1つでも不足しているとリスクが上昇する」という傾向が見られた。

3栄養素の組み合わせと心筋こうそくリスク。3つとも高い左端に比べ、どれか一つでも少なめだとリスクが上がることが分かる。
3栄養素の組み合わせと心筋こうそくリスク。3つとも高い左端に比べ、どれか一つでも少なめだとリスクが上がることが分かる。

特にビタミンB6が低い場合は、3栄養素が低い場合と同じくらいリスクが上がるという結果が出ている。研究班ではこの原因(ビタミンB6と心筋こうそくとの深いかかわり)について、日本人は元々ビタミンB6の摂取量が低いからではないかと推測している。

レポートでは「葉酸などの栄養素を多く摂取したと答えた人たちが健康的な生活習慣を持っていたために、これらの栄養素が予防的に見えている可能性がある(元々健康的な生活習慣をしていて、その要素の一つとして「ビタミンB6などが多めだった」に過ぎない)」、「食事からの摂取であり、サプリメントについては検討していない」など、統計学上の限界を付け加えている。

しかしビタミンB6などが心筋こうそくのリスクを軽減する可能性があると共に、ご飯や野菜、魚、肉などの食品をバランスよく摂取して健康的な食生活を送ることが(ビタミンB6などを必要量摂取し)、心筋こうそくの予防につながる可能性を示唆しているのも事実。「医食同源」という言葉にもあるように、正しい食生活を心がけよう。

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