技術の進歩がページビュー数の減少をもたらす!? 総ページビュー数は3%減へ

2008年05月24日 12:00

インターネットイメージネットレイティングスは5月23日、インターネット利用動向調査「NetView」の2008年4月分データを発表した。それによると4月における家庭でのウェブ総利用時間は大きく伸びているものの、総ページビュー数は減少していることが明らかになった。利用時間とページビュー数が連動しない原因として同社では「これはストリーミング、フラッシュなどのリッチコンテンツや、AJAXなどクリックを減らす技術の普及が一段と進んだからではないか」と説明している(【発表リリース、PDF】)。

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同調査はネットレイティングスビデオリサーチインタラクティブとの共同運営パネル事務局「ビデオリサーチインタラクティブ・ネットレイティングス事務局」で行われたもので、日本全国の日本全国の一般家庭及び職場を対象にRDD方式(電話による無作為抽出方式)で選出した統計的代表性のある調査パネルで集計されたもの。

今回発表された資料によれば、ウェブ総利用時間と総ページビュー数の推移は次のようになる。

ウェブ総利用時間と総ページビュー数の推移(パソコンのみ)
ウェブ総利用時間と総ページビュー数の推移(パソコンのみ)

元資料にもあるように、2001年以降総ページビュー数と総利用時間はほぼ正比例で右肩上がりの図を示していた。ところが2006年以降その関係は崩れ、総利用時間が相変わらず同じようなペースで増加しているのに対し、総ページビュー数は伸びを止め、2007年以降はむしろ減少傾向を見せている。

今回発表されたデータでは、

総利用時間……9億2900万時間(+17.6%、7億8994万時間)
総ページビュー数……804億7400万ページビュー(-2.8%、828億1100万ページビュー)

※カッコ内は昨年同月比との比較および昨年同月の値


という結果が出ており、「利用時間が増加しているのにページビュー数が減少する」という、これまでになかった傾向を示している。

この傾向について資料側では

ストリーミング、フラッシュなどのリッチコンテンツや、AJAXなどクリックを減らす技術の普及が一段と進み、1ページに滞在する時間(利用時間)が長くなっていることを反映した結果


と説明している。実際に同資料内で提示された詳しいページビュー数推移を見ると、2006年3月に見せた最高値以降、じわじわと減少傾向を見せ、最新の2008年4月時点では4年前の水準にまで落ちていることが分かる

日本におけるひとりあたり月間平均ページビュー数の推移(2001年4月~2008年4月、家庭のパソコンによるアクセス)
日本におけるひとりあたり月間平均ページビュー数の推移(2001年4月~2008年4月、家庭のパソコンによるアクセス)

このような傾向を見る限り、ウェブサイトのバリューとして、単にページビューの指標だけでなく、「利用時間」の指標もあわせて利用すべきだろうと思われる。そしてネット広告媒体にとっては今までのスタイルだと「ページビュー数の低下=収益機会の低下」となるため、「露出時間に連動した料金体系やインプレッション単価の引き上げが差し迫った課題」となるに違いない。

要は「じっくり眺めるタイプのページや技術が増えてきたから、単に閲覧ページ数だけで云々するスタイルでは、サイトの評価や広告の点で問題がある」という傾向が顕著なものになりつつある、ということである。


ここでいくつか補足説明。ネット上の広告がクリックによりリンク先への実際のアプローチだけでなく新聞や雑誌同様に「表示されるだけ、閲覧されるだけ」で相当な効果を生み出していることは、すでに前世紀から語られている。手元の資料では1997年の時点でIAB(インターネット広告ビューロー)が「バナー広告はブランドを印象づけないという一般の見方に反して、ウェブ上のバナー広告は有効な方法になりうる」という結論を、CNNなど主要ウェブサイト閲覧者1万6758人への調査結果の中で明らかにしている。

ウェブ上の広告は
表示だけでも効果あり。
表現手段の多様化で
強まる傾向に。

具体的なデータとしては、「回答者の半数が、テスト広告を見せられ、別の半数が、異なった・コントロールされたバナー広告を見せられた。そのような条件下のもとでリサーチしたところ、バナー広告を見た人の96%が広告内容を認知した」という結果が出ている。これはインターネットの黎明期におけるものなので、現状とはいささか異なるデータともいえるが、「表示だけでも認知=広告宣伝の対象となる」ことに違いはない。ましてや動画やFlashなど表現方法が豊かになった現在では、効果は数倍にも達している可能性すらある(「うざったさ」も数倍のため、表示そのものが無視されるリスクも同様に増加しているが)。

また、当サイトでは先日から【Blogscouter】を導入している。これはページビュー数などの他に「1読者あたりの平均累計滞在時間」がチェックできるという優れもののカウンター。これによると当サイトの平均滞在時間は5分前後であることが分かる。長いのか短いのか微妙なところ。

今後動画サイトの普及や技術の進歩により、ページビュー数だけのサイト評価はその価値を減じてくるだろう。そしてそれと共に、元資料にもあるように「閲覧する時間帯にも見合った評価」が求められるに違いない。さもなくば広告主側は「閲覧分の効果をタダ乗り」していることにもなりかねないからだ。

さらに日本においてはとりわけ、今資料ではデータとして反映されていない、携帯電話に関する閲覧や効果も考慮すべきだろう。「パソコンの」ページビュー数が減ったのも、あるいは携帯電話への注力が一因なのかもしれないのだから(閲覧時間は増えているので一概にもそうだとは言い切れないが……)。


■関連記事:
【ネット新聞読者は紙の新聞読者より記事を読みこなしている】

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