日本は子どもが育てにくい国!? 「母親になりやすさ」の順位、31位に後退
2008年05月08日 08:00
今年は5月11日とカウントダウン状態となった「母の日」。世界中で日頃の母親の苦労を労り、母親への感謝を表す記念日だが、それに合わせて「母親になるのにベストな国ランキング」が国際援助団体(NGO)セーブ・ザ・チルドレンから発表された。それによると日本は146か国中31位となり、昨年29位からランクダウン、計測対象となった2005年以来最低のランキングに収まることとなった(【発表リリース】)。
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「母の日ランキング」は同団体が「母親に注目することで子どもについて考えるきっかけをつくる」ことを趣旨とし、毎年母の日前に発表されるもの。各種項目を元に「母親指標」を算出し、その数字からランキングを決定する。具体的には以下の項目から「女性指標」と「子ども指標」を計算し、その上で親子としての「母親」の過ごしやすさ、生活しやすさを決めることになる。
①産婦死亡のリスク
②現代的な避妊手法の使用
③訓練を受けた医療従事者の立会いの元での出産
④女性の平均余命
⑤女性の公教育期間
⑥男女間の給与所得の比率
⑦産休・育休制度
⑧女性の国家レベルでの政治への参加
⑨5歳以下の子どもの死亡率
⑩5歳以下の子どもの栄養不良児率
⑪就学率
⑫初等教育就学の男女比
⑬安全な水の利用率
具体的なランキングにおいて、上位・下位の10位は次の通りとなる。
上位ベストテンと下位ワーストテン
具体的な数字が公開されていないのが残念だが、順位の傾向としては毎年の通り「北欧諸国が上位」「アフリカ、特に南部アフリカが下位」を示している。
日本についてまとめると次の通り。
・順位は降下中(2005年14位、2006年12位、2007年29位、2008年31位)
・女性指標は36位、子ども指標は6位。
・就学率の高さや幼少時の死亡率の低さが子ども指標を押し上げ。
・女性の国政レベルの参加率の低さ、男女間賃金格差の大きさが母親指標を押し下げ。
子ども指標をあらわす項目(上記一覧のうち主に9~13)にさほど変化・悪化の様相は見られないことから、「母親指標」の下落は主に「女性指標」が要因であることが分かる。中でも経済的・公的なサポート面における女性への注力度の低さが、昨今のような「徐々に下落」傾向を導いたものと思われる。
単純計算で女性は全人口の約半分を占める。また、子どもは将来の国を担い、社会を構成し、未来への架け橋となる大切な存在。彼女・彼らの幸せ無くして、社会全体の明日は見えてこない。項目の選択や各項目の数字化において完全に客観的なものであるかを考える必要もあるが、それを差し引いても「母親指標」が低下している現実を見据え、対策を講じるべきだろう。
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