携帯電話のフィルタリングサービス義務化、賛成は約8割

2008年05月17日 12:00

モバイルイメージネットマーケティングを展開するアイシェアは5月16日、携帯電話のフィルタリングに関する調査結果を発表した。それによると携帯電話の「未成年者に対するフィルタリングサービス」が義務化される動きについて、賛成派は全体の約8割を占めることが明らかになった。実際に規制対象となる子どもを持つ・持たないにかかわらずこの割合はさほど変わりがなく、支持率の高さが実感できる。なお男女別では子どもと深く係わり合いを持つ可能性が高い女性が9割近くの支持を表明しているのに対し、男性は7割強とやや低めの値を示している(【発表ページ】)。

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今調査は無料メール転送サービスCLUB BBQの会員を対象に行ったもので、有効回答数は636人。男女比は54.9対45.1、年齢階層比は20代が14.5%、30代が46.7%、40代が27.4%など。調査期日は5月12日から5月14日。

総務省は2007年12月10日、未成年者が保有する携帯電話などで有害サイト(出会い系など)へのアクセスを制限するサービス(フィルタリングサービス)の導入を促進するよう、各携帯電話事業者などに要請(【該当リリース】)。これを受けて各社では原則的にフィルタリングサービスを適用することになり、事実上の義務化が施行されることになった。

この動きは「自社が提供しているサービスがフィルタリングの対象になる可能性がある=アクセスが激減する」という考え方から既存の携帯電話上のサービスを提供している各企業に大きな衝撃を与え、【ディー・エヌ・エー(2432)】【モバゲータウン】をはじめ多くの企業・サイトで対処が行われている。元々「分別が未熟な未成年者に好ましくないコンテンツを閲覧できないようにするフィルタリングサービス」へのニーズ関心は主に保護者の間から存在していたが、この総務省の要請で一挙に注目と関心を集めるようになった。

今回の調査結果によると、子どものあるなしを問わず、8割前後が「フィルタリングには賛成」という意志が見て取れる。

フィルタリングサービス義務化の動きに対する意見
フィルタリングサービス義務化の動きに対する意見
子どもが身近な
女性・30代に
賛成派が多い

フィルタリングサービスの対象となるのは原則「未成年」、つまり高校生以下。携帯電話の保有率を考えると小学校の高学年から対象となる数が増えてくるが、それらの子どもを持つ親の年齢に該当する可能性が高い30代で特に支持率が高いのが分かる。「フィルタリング」が対岸の火事ではなく自分自身の身近な問題として関わってきた時、どのような態度を取るか、親心が見て取れる。

また「親心」という点では男性より女性の方が支持率が高いのも注目に値する。「父親は子どものことに無関心」というわけではなく、「母親の方が子どもと接する時間が長く、関心度が高い」ゆえの結果だろう。

実際のフィルタリングは総務省側が提示するのではなく、各携帯電話事業者が独自のガイドラインに従って実施する。フィルタリングについてどのようなものが良いのかという問いには次のような回答が出ている。意見は分かれているようだ。

子ども向けフィルタリングサービス義務化の内容について
子ども向けフィルタリングサービス義務化の内容について

フィルタリングの方法については全体としては分散傾向にあるが、「フィルタリング」そのもの是非同様に男性よりも女性が、年齢層では子どもにもっとも身近な30代において、厳しい設定を求めているように見える。自由度より安全性を優先するのは親心ならでは、というところか。


メディアとしてまだ年が浅く、その割に圧倒的な普及率を誇る携帯電話ならではの問題として、テレビやビデオ、書籍と比べ規制が追いつかないという現状がある。フィルタリングサービスの是非については、規制対象となる子どもの立場からすれば圧倒的に反対する意見が多い(【過半数が「解除お願い」、安心して使うのは5%前後~携帯電話フィルタリングの中高生から見た感想】【親は9割賛成、子どもは……携帯フィルタリングサービスのジェネレーションギャップ】)。とはいえ、閲覧されうる内容は、場合によっては法的に規制されている書籍やテレビ同様に問題視されるものも多いのも事実。法的あるいは業界の自主行動に基づいた規制は(他のメディア同様に)止むを得まい。

もちろん他のメディアと同じく、過度の規制で利用者が必要以上の不都合を感じる事のないようなバランス感覚が求められるのは当然として、「何を規制すべきなのか」というそもそも論もしっかりと行わねばならないだろう。また、規制を受ける側となる高校生以下の携帯電話利用者が「なぜ規制を受ける必要があるのか」について納得できるよう、携帯電話の利用マナーについてしっかりとした教育・啓蒙が求められる(理由のない規制は反発を生むばかり)。こちらも教育機関や携帯電話キャリア、そして監督官庁の総務省の「宿題」といえよう。


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【「中学生以下の子どもにケータイ」賛成・反対ほぼ同数】

(最終更新:2013/08/06)

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