失敗例83種類! ベンチャー企業の経営危機をデータベース化・図解で紹介
2008年05月06日 12:00
経済産業省は4月30日、ベンチャー企業の経営における失敗事例などの経験を83事例も掲載した【ベンチャー企業の経営危機データベース】を作成し、同日から公開したことを発表した。これからベンチャー企業を立ち上げる・現在進行形で立ち上げている人たちだけでなく、ベンチャー企業を支援する立場の人にも役立ててもらうという目的とのこと(【発表リリース、PDF】)。
スポンサードリンク
ベンチャー企業の経営危機データベース
データベースでは「業種」「成長ステージ」「失敗の結果」「失敗の原因」の4項目や、地域・創業者の年齢・創業時の職業の内訳などの項目から自由に選択し、必要な事例を抽出することができる。もし利用者がベンチャービジネスを始めたい・現在進行形で行っているのなら、自分と同じ条件のものを選べば類似参考事例を見つけられるだろう。支援者サイドでも現在支援中なら支援先と同じ条件のものを選べばよいし、類似項目を色々と探してリスクを提言し、資金だけでなく情報の面からもサポートすることができる。
各事例では会社名・代表者名こそ挙げられていないものの、各企業の失敗事例が事細かに、図解付で解説されており非常に興味深い。例えば無料インターネットプロバイダーサービスと企業広告を組み合わせた「ハイパーシステム」に絡んだハイパーネ●●の事例を【No81.卓越したアイデアではあったが、実際の市場を見誤る 金融機関からの貸し剥がしにあい、資金ショートを起こす】で見つけることができるが、詳細が図表、年表、さらには経緯や原因などについて項目を区切って説明されている。
「No81.卓越したアイデアではあったが、実際の市場を見誤る 金融機関からの貸し剥がしにあい、資金ショートを起こす」の事例における「トラブル・失敗・課題までの経緯」の図。
なおこの事例については書籍『社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由』に当事者の談によって色々と語られているので、気になる人はチェックしてみても良いだろう。さらに対象事例の当事者によるその後談が【アカデミーヒルズの要約議事録】にもある。
成功事例は将来への夢をふくらませ、ポジティブなやる気をかきたてる効用がある。そして人は大抵において、失敗談を語るのを嫌い、また耳にするのを避ける。しかしその一方、成功談ばかりでは、現実からかい離した決断を導いてしまうことも少なくない。「成功事例より失敗事例の方が、将来を考える際には役に立つ」という言葉もあるように、むしろ失敗談の方が「糧(かて)」になる場合が多い。
似たような事例では【成功事例よりも要チェックな失敗事例集こと「失敗知識データベース」】で紹介した「失敗知識データベース」がある。また、最近流行のQ&A形式の掲示板でも、失敗事例を元にアドバイスが行われる状況を数多く見受けることができる。今回公開された「ベンチャー企業の経営危機データベース」も、メジャーにこそならないものの密かに役立つツールとして浸透していくことになるのだろう。さらにそうなることで、同じ失敗が少しでも減る事を願いたいものだ。
(最終更新:2013/09/06)
スポンサードリンク
ツイート