喫煙者の7割がニコチン依存症、自覚者はそのうち6割

2008年05月17日 12:00

たばこイメージアメリカ系製薬会社のファイザーは5月16日、日本人のニコチン依存度に関する調査結果を発表した。それによると、喫煙者の70.7%もの人が「ニコチン依存症」と判定されることが明らかになった。一方で判定された人のうち、実際に自分がニコチン依存症であると自覚している人は60.0%に過ぎず、40.0%は「自分はニコチンに依存していない」と判断していることも判明した(【発表リリース】)。なおファイザーではニコチン依存症のタバコを吸う人に対する新しい禁煙補助剤「チャンピックス錠」(バレニクリン酒石酸塩)を発売している。

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今調査は4月10日から15日の間にネット経由で「喫煙者を対象に」行われたもので、有効回答数は9400件。男女比は1対1で、都道府県別に男女100人ずつ回答を得ている。年齢構成比などは非公開。

「ニコチン依存症」の判断基準については、東京大学の川上憲人教授らが米国精神医学会の診断基準などに準拠して開発したスクリーニングテストを元にしている。10項目中5項目以上が該当すれば「ニコチン依存症」と判断される。

調査結果によれば、回答者の70.7%もの人がニコチン依存症と判定された。

喫煙者に占めるニコチン依存症の割合
喫煙者に占めるニコチン依存症の割合

また、都道府県別ではもっとも依存症率が高かったのは鳥取県で、その割合は79.5%に達していた。

■ニコチン依存症の割合(上位5位)

1.鳥取県……79.5%
2.和歌山県……76.0%
2.山口県……76.0%
2.山形県……76.0%
5.群馬県……75.5%
5.島根県……75.5%


ちなみにもっとも低かったのは京都府の63.5%だった。トップとワーストとの間には約15%の開きがあることになる。これを多いとみるか、誤差の範囲とみるかは微妙なところ。

一方、「ニコチン依存症」と診断された人に対して、自覚症状があるかどうかをたずねたところ、依存症の自覚があると答えたのは6割でしかなかった。

(ニコチン依存症判定者に)「ニコチン依存症の自覚はある?」
(ニコチン依存症判定者に)「ニコチン依存症の自覚はある?」

都道府県別では自覚症状を持つ人の割合がもっとも多いのは大阪府。実に8割近い78.9%の人が自覚症状アリと答えている。

■(依存症判定者のうち)ニコチン依存症自覚者の割合上位5位

1.大阪府……78.9%
2.沖縄県……69.8%
3.高知県……67.1%
4.岩手県……66.7%
5.山口県……66.4%


もっとも低いのは徳島県の48.9%。大阪府との開きは実に30.0%にも及ぶ。これを「誤差の範囲」と解釈するのには無理がある。

ニコチン依存症の喫煙者がそれを自覚している割合の大小をどうみるか。これは正直難しい。「依存症を自覚しているのに喫煙を続ける」ことを「開き直り」と見るか、「依存症なのに自覚していなかった喫煙者」を「自分も気がつかないほど喫煙が生活に浸透している」と見るか、ということになる。

しかし内臓疾患など目に見えない病気ならともかく、本人の意志に基づかないと喫煙できないことや、喫煙行為が自他共に「見える」ものであることを考えると、「依存症」云々は別にしても「自分はたばこに依存している」と実感した上で(それでもかまわず)喫煙を続けている、と判断した方が的を射ているといえるだろう。

ニコチン依存症判定者は「依存症」という状態におかれた自分がどのような行動をとるべきか、自分自身と周囲の人の意見に耳を傾け、考える必要があるだろう。そして自覚そのものがない人は、まず現状認識を行い、自覚するところから始めよう。

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