セガサミー、524億7000万円の赤字・来期はドコモの夏野氏も招集し黒字転換を予想

2008年05月14日 08:00

【セガサミーホールディングス(6460)】は5月13日、2008年3月期の決算短信を発表した。それによると同期純利益は524億7000億円のマイナスで、一株あたりの利益は208円26円の損失となった。配当は前年期より減配するものの、無配は避ける。来期予想は以前報じられた通りで、黒字転換を果たすとしている。人事も刷新し、三人の取締役が退任する一方、セガから社長の臼井興胤氏を、近々【NTTドコモ(9437)】を退任予定の同社執行役員でiモードの立役者ともいわれている夏野剛氏を取締役として招集する予定(【決算短信リリース、PDF】【人事異動リリース、PDF】)。

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セガサミーでは主事業のパチンコ・パチスロの法改正やゲーム事業の不振が続き、大きく業績を落としていた。直近では【セガサミーの業績予想下方修正、純損は2倍の520億円へ】にあるように、それより前に発表された業績予想を大きく下回る下方修正を行い、内外に現状の厳しさを改めて認識させていた。

今回発表された決算短信の概要は次の通り。

■2008年3月期
・売上……4589億7700万円
・営業利益……▲58億2900万円
・経常利益……▲82億2400万円
・当期純利益……▲524億7000万円
・一株あたり純利益……▲208円26銭

■2009年3月期予想
・売上……4700億円
・営業利益……150億円
・経常利益……130億円
・当期純利益……50億円
・一株あたり純利益……19円85銭

※▲の値はマイナス


2009年3月期予想は前回から変わっていない。また配当についても2008年3月期が45円(30円/15円)から2009年3月期は30円(15円/15円)と減配するも、無配転落は避ける予定であるとしている。もっとも現状における予想でも配当性向は151.1%(利益以上を配当として出している)ことになり、実施は容易な話ではない。

現在継続中の今期(2009年3月期)については先の「セガサミーの業績予想下方修正、純損は2倍の520億円へ」でも触れているように現事業の大幅な見直しと収益性の改善を図り、黒字転換を目指すとしている。そのためにグループ会社の再編や、今回同時に発表された人事異動も果たし、目標達成を目指すとの事。

iモードの生みの親、夏野氏招集でセガサミーは変わるのか?

また今回の人事異動で注目されるのは、NTTドコモの「iモード」の育ての親ともいわれている夏野剛氏を取締役として招致する点。同氏は【ドコモのリリース】にあるように6月20日の株主総会で退任が正式決定するが、すでに慶應義塾大学総合政策学部メディア研究科の教授に就任するなど多方面で活躍する様相を見せている。

今回セガの再建に一役買うために取締役として就任する形となった夏野氏だが、本人の「iモードの立役者」という能力はもちろん、各方面への太いパイプ(とりわけ携帯電話事業分野)を期待する面もセガサミー側にはあるのだろう。リリースでは携帯事業に関してわずかな言葉でしか語られていないが、今後セガサミー側が夏野氏にフルに働いてもらう形で、大きく展開を見せる可能性もある(もっとも以前セガが某著名プロモーターを役員として招集した時には逆に振り回される形になり、百害あって一利くらいしかないような結果になったが……)。

ゲーム業界とパチスロ業界、共に置かれている現状は非常に厳しく、セガサミーにとっては冬の時代が続く。今回の業績予想もかなり甘めに見ているように見受けられ、状況の改善が無ければさらに下方修正の可能性も否定できない。今後新体制でどのような変貌を見せるのか、期待と不安が入り混じる中見守りたいところだ。


■関連記事:
【セガサミー、事業集中化のため「みなとみらい21」の大型娯楽施設の開発中止】

(最終更新:2013/08/06)

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