たばこが500円に値上げされたら禁煙を考える人は約●割
2008年05月18日 12:00
アメリカ系製薬会社のファイザーは5月16日、日本人のニコチン依存度に関する調査結果を発表した。それによるとたばこの価格が500円くらいになったら禁煙しようと考える人は、全喫煙者のうち約5割を占めていることが明らかになった。一方で「いくら高くなっても禁煙しない」と回答する人も1割ほどおり、価格に左右されない層が確実に存在することがうかがえる(【発表リリース】)。
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●500円で5割、1000円で8割が「禁煙を考える」
今調査は4月10日から15日の間にネット経由で「喫煙者を対象に」行われたもので、有効回答数は9400件。男女比は1対1で、都道府県別に男女100人ずつ回答を得ている。年齢構成比などは非公開。
現行において日本国内のたばこの価格は290円~300円が基本(JT内価格一覧ページ)。この価格帯からどのくらいの価格に値上げされれば、禁煙を考えるかという質問に対する回答は次の通り。
たばこの価格がいくらになれば禁煙しようと思うか
少々分かりにくいので図を引きなおしてみる。例えば「500円」だった場合には、「400円くらい」と「500円くらい」と回答した層が禁煙を試みることになる。そのような形で設定価格より下の層を順次積み足していったものが次のグラフ。
たばこの価格がいくらになれば禁煙しようと思うか(各価格帯における累計)
例えばたばこ価格が「500円」に変わった場合、「400円」「500円」の層で合わせて15.2%+38.7%=53.9%が禁煙を試みるということだ。
500円……53.9%
1000円……79.4%
このようなグラフにするとたばこの価格と禁煙の関係には2つのブレークポイントがあることが分かる。すなわち「500円」と「1000円」の価格帯だ。500円を超えた時点で禁煙検討者がグンと増えるがそれ以降は100円単位ではじわじわとしか上がらず、1000円になった時点で再び禁煙検討者が急上昇する。区切りのよい価格ということもあるのだろうが、「たばこ価格の値上げによる禁煙促進」というポイントにおいては、この2つの価格帯を「効率の高い値上げ目標」として検討課題として考えるべきなのだろう。
●値上げをすれば禁煙率は高まるか
また、1000円で79.4%の人が禁煙を考えるということは、1000円でも20.6%の人は引き続きたばこを吸い続けるということになる。実際には「吸い続けるが本数は減らす」というのが大半だろうが、喫煙を続ける意志が強いことに違いはない。先進諸国の中でもたばこ価格が高い(禁煙促進のためたばこ税が高いため)イギリスでは実際に1箱あたり5ポンド程度(7~9ドル、日本円で約1000円:参考【ロンドンサイド】)もするそうだが、国民の喫煙率減少には「あまり」効果がないようだ(【値上げで禁煙者は増えるのか・諸外国に見る成功例と失敗例】)。これは手巻きのたばこは安いため、庶民の間で手巻きたばこが普及しているから、という話もある。
さらに同調査では「今までに禁煙に挑戦したことがあるか」という問いには7割近くの68.2%が「はい」と答えている。この調査は喫煙者、つまり「現在たばこを吸っている人」に対して行われているものだから、「禁煙に挑戦したことがある」=「禁煙に失敗した経験がある」ことになる。よって、少なくとも今件の調査母体においては「禁煙をしても7割は失敗する」と考えてもよい。
禁煙者増加が期待できるのは
17.1%に過ぎない
そのように考えれば、仮にたばこ価格を500円に値上げし、53.9%の人が禁煙を試みても、実際に禁煙できるのは17.1%(53.9%×32.8%)ということになる。2割近くの禁煙者増加を多いと見るか少ないとみるかは微妙なところだろう。
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