小中学生の携帯電話へのフィルタリングサービス導入率は43.1%
2008年05月20日 06:30
日本PTA全国協議会が5月15日に発表した【子どもとメディアに関する意識調査】によると、小中学生の携帯電話やPHSに、有害サイトへのアクセスを制限するサービス(フィルタリングサービス)を導入している保護者は全体の43.1%に達していることが明らかになった。1年前の調査結果30.0%と比べると10ポイント強ほど増えており、同サービスがそれなりのペースで浸透していることがわかる。
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●フィルタリング導入率は1年で13.1ポイント増加
今調査は2007年11月12日から26日までの間、調査票を配布し記述してもらった上で回収する方式で行われたもので、有効回答数は小学5年生が1753人、中学2年生が1942人、保護者はそれぞれ1700人・1777人。男女比は子供が49.5対49.6(無回答0.9)。保護者は母親87.7%、父親10.0%(その他、無回答あり)。年齢は30代が32.0%、40代が59.9%。共働きか否かでは共働きが58.0%、共働き以外が29.8%(その他、無回答あり)。
この回答項目は子どもが携帯電話・PHSを持っている保護者に対し、フィルタリングサービスを導入しているか否かについて尋ねたもの。
子どもの携帯電話にフィルタリングサービスを導入しているか(2007年度)
※参考:子どもの携帯電話にフィルタリングサービスを導入しているか(2006年度)
1年前と比べれば13.1ポイントの増加と、それなりに導入事例が増加していることがわかる。しかし逆に考えればまだ半分以上の保護者が一度も導入をしていないことがわかる。
●導入しない理由は「信用しているから」
携帯電話を経由して子どもが色々な問題に巻き込まれる話が相次いでいる中、なぜフィルタリングサービスを導入しないのか。その理由は保護者によって多種多様だった。
なぜフィルタリングサービスを導入しないのか(2007年度)
※参考:なぜフィルタリングサービスを導入しないのか(2006年度)
前回調査と今回調査では縦軸の縮尺が異なるので注意が必要だが、小学・中学双方において「子どもを信用しているので」という回答がもっとも多かった。中学生に対してはむしろ前回より増加する傾向にある。一方「サービスを知らなかったので」「導入方法がわからなかったので」とする回答は大きくその率を減らしている。啓蒙活動によるものでもあり、世間で携帯電話に関する問題が次々と報じられ、その過程でフィルタリングサービスについても語られたからだと思われる。
●導入後、ねだられて解除する事例も
最後に、「フィルタリングサービスを一度は導入したが解約した」保護者に対して、どうして解約したのかを尋ねたところ、半数が「子どもの希望で」と回答していた。
なぜ一度導入したフィルタリングサービスを解約したのか
「子どもの希望で」という回答がもっとも多かったが、これは先の【過半数が「解除お願い」、安心して使うのは5%前後~携帯電話フィルタリングの中高生から見た感想】を裏付ける結果となっている。「子どもを信頼しているので」という回答はやや疑問が残る(信頼しているのならはじめからフィルタリングをしなければ良い)が、これは何らかの事情ではじめからフィルタリング機能が導入されていたのだろうか。あるいは気が変わったのか、年齢の経過と共に「もうフィルタは必要ないだろう」と保護者側が判断したのかもしれない。
ちなみに今件は該当数が非常に少なく、中学校2年生で28件、小学校5年生にいたっては2件しか当てはまる保護者がいなかった。あくまでも参考データ程度のものでしかなく、多分のぶれが生じている可能性があることを付け加えておく。
【携帯電話のフィルタリングサービス義務化、賛成は約8割】にもあるように、現在未成年者に対して携帯電話のフィルタリングサービスを義務化する動きが進められている。現状でも半ば義務化されたようなものだが、今後さらに規制が厳しくなる動きを見せている。
現状では啓蒙活動はそれなりに効果を生み出しているようだが、フィルタリングサービスそのものの導入はまだ低めといった状況にある。義務化が声高に叫ばれ、各企業も今以上に本腰を入れれば、この率は将来さらに高まるのだろう。
まずは携帯電話に関して
「良いこと」「悪いこと」を
学校や自動車免許のように
教える場を設けるべきでは
規制化については、各種報道を見る限り「コンテンツの規制をしてもキリがないので、保有そのものの年齢制限を設けるべきでは」という動きすら見られる。個人的には「保有制限よりも、未成年者には自動車免許のように免許制にでもしたら?」とは思う一面もある。保護者から見て問題あるサイトに、子どもたちがアクセスし、色々な状況に遭遇してしまうのは、それらのサイトを運営する業者に問題があるのはもちろんのこと。そして利用するリスクを十分に知らない子どもにも責任がある。そして当然ながら、そのリスクを教えなかった保護者や教育機関に一番の責があるのはいうまでも無い。
最初は誰でも初心者・素人。誰かが教えてくれなければ自分で学ぶしかなく、その過程で間違った道を歩んでしまう可能性は決して低くない。誰か正しい道順を知っている人が、道の歩き方、先の見通し方を教え、ルールを学ばせる必要がある。厳しい規制を設けるのは結構だが、本来大人がやるべき義務を果たさず締め付けをするだけでは、子どもが反発するのは目に見えている。規制の強化を推し進める前に、まずは保護者や先生に目を向けてみるべきではないだろうか(……それが無理なら、ということで「免許制」を提示したのも言うまでも無い)。
■関連記事:
【親は9割賛成、子どもは……携帯フィルタリングサービスのジェネレーションギャップ】
(最終更新:2013/08/06)
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