超精密電車運転シミュレーターおひとつ3000万円から
2008年05月11日 12:00
【富士通(6702)】は5月8日、音楽館の技術協力のもとで、フルハイビジョン映像を利用した鉄道運転シミュレーターシステムの提供を開始したと発表した。1システム3000万円から。実在する路線映像を高解像度で、スピードが変わっても不自然な見え方をしない「可変速再生技術」を用いており、リアルな運転シミュレーションを実現したとのこと(【発表リリース】)。
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富士通が開発したフルハイビジョン映像活用の鉄道運転シミュレーターシステム
リリースによると従来の業務用鉄道運転シミュレーターでは路線のコンピュータグラフィックを用いて運転訓練をしているが、それでは実際の運行におけるタイミングの訓練(建物や看板などを目印にした運転)は難しく、「より現実に近い環境の実現をしたシミュレーター」が求められていた。そこで今システムでは「シミュレーター上の運転速度が変わっても現実に近い見え方を維持する(スピードの変化でぎくしゃくしない)」可変速再生技術を用い、実在する路線のフルハイビジョン走行映像を使って本物の鉄道運転に近い見え方を再現することに成功した(最大で毎秒60フレーム)。
さらに富士通のデータセンターのインフラを用いてネットワーク経由でデータを提供することで、対象シミュレーション地域の状況が変化しても、新しい映像を用いてシミュレーターを更新することができるようになる。また、大規模な事業体が複数このシステムを導入し、離れた場所で訓練をした場合でも、訓練の履歴や成績が一括管理できるという。
前後左右に6つのスクリーンのある
実寸大モックアップ車両
富士通側ではこのシステムを単に鉄道事業体の訓練用としてだけではなく、鉄道や交通関連の博物館、子供向け施設など、エンタメ系施設の「超リアルな体験用鉄道シミュレータ」としての提供も検討している。
大雑把に例えれば、「超リアル実写版『電車でGO!』」と表現するのが一番分かりやすいだろう。修練不足も一因と見られる電車の事故がちらほらと耳に入る昨今、大手の鉄道事業体ではこのようなシミュレーターの導入も求められるかもしれない。具体的な案件は不明だが、「事故の発生や臨時列車の運行など、鉄道運行の業務上考えられるアクシデントやシナリオを設定し、不測の事態への対応を訓練することが可能」「運転台の表示や信号機の色の変化、踏切での自動車の立ち往生、大地震による緊急停止命令や停電トラブルなどの事象を、実写映像とCGを使った高度な映像と、きめ細かい音声表現で実現」ともあるので、「まさか」の時のための対応訓練にも役立つに違いない。
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