飲食店での食べ残しの使いまわし・21%が経験あり

2008年05月19日 08:00

時節イメージ船場吉兆による「手つかずと食べ残し、違う」発言などで改めて問題視されるようになった、飲食店における料理や飲料の使いまわし。【日経レストラン】の調査によると飲食店勤務の21%が、食材や飲料の使いまわしの経験があることが明らかになった。食品衛生や倫理上の問題、経営や「もったいない」の考え方など、複雑な事情が絡み合うテーマなこともあり、色々と問題視されそうなデータだ。

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今調査は5月13日から15日、飲食店で働く100人(アルバイトや過去一年以内の勤務経験者含む)に対して行われたもの。男女別・年齢階層別などの属性は未公開。また一方で、消費者200人に対して同様の調査も同時に行われている。母数がやや少ないため、世間の実情とはずれが生じている可能性を考慮してデータを見る必要がある。

飲食店側と消費者側の、それぞれの調査結果は次の通り。

■飲食店側
・食べ残しの使い回しをしたことが「ある」……15%
・刺身のツマなど一部食材・飲料の使いまわしをしたことが「ある」……21%

■消費者側
・食べ残し(手をつけないで残った料理)の使い回しをしていると思う……86.5%
・刺身のツマや添え物など一部食材の使いまわしをしていると思う……93.0%


少なくとも今調査では店舗側は約2割が「使いまわし」の実態を認めているのに対し、消費者側は9割で「使いまわしをしている」ことを疑っている結果が出ている。

飲食店側が「すべてしている」ではなく「した経験がある」で、消費者側も「必ず全店舗でしている」ではなく「使いまわしをしているところかある」との設問・回答なので必ずしも両者が一致しているとは限らないが、消費者側の疑心暗鬼は相当なものであることが容易にうかがえる。

食べ残しの使いまわし
「もったいない」は分かるが
家庭と飲食店では事情が違う

詳細は6月1日発売の「日経レストラン 2008年6月号」に掲載されるとのことだが、消費者側の「使いまわししてるのでは?」という疑念を裏付けるものとして、「大葉がひどくしなびていた」「つけあわせの野菜が乾燥してカラカラだった」という疑いだけでなく「使いまわしているのを目撃した」といった目撃情報まで寄せられているという。

自宅で食事をする場合、食べ残したおかずは冷蔵庫に保管するなどして、後に温めなおしたり調理しなおして食べることはよくある話。食費を節約できるし、何より倹約の精神にのっとった行為であり、捨てるよりははるかに気分も良い。もちろん衛生保存上問題のあるようなことは慎むべき。

一方飲食店での「食べ残しの使いまわし」は、単に「もったいない」だけでなく経営上の観点で材料費の節約が出来るなどのメリットがあるものの、家庭ベースでの「使いまわし」と違い不特定多数の他人の食べ残しであることや、食品衛生上や倫理上の視点で見れば問題点は多い。ましてや「手をつけていないから食べ残しとは違う」というのは単なる言葉のあやに過ぎない(見た目が手付かずに見えても、誰がそれを証明しえるのか)。

消費者に疑念を抱かせることは、飲食店そのもののへの不信感を高め、客足を遠のかせる一因になりかねない。ただでさえ小売全体の消費が低迷している中、余計な要素で業界全体の足を引っ張ることのないよう、全体で色々とアイディアを出して信頼回復に努めるべきだろう。


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